2005年2月16日(水)「しんぶん赤旗」

若者の夢奪う高学費

48国立大が値上げ

石井議員 政府に撤回迫る

衆院予算委


写真

国立大学授業料値上げ問題で追及する石井郁子議員=15日、衆院予算委

 二〇〇五年度政府予算案で、国立大学の授業料標準額の一万五千円引き上げが打ち出されるなか、全国八十九の国立大学の五割余の四十八大学が、来年度の授業料値上げを決めていることが分かりました(表)。国は標準額引き上げ分を各大学への交付金から削減することにしています。値上げによる予算上の増収見込み額は八十一億円。十五日の衆院予算委員会で、日本共産党の石井郁子議員が質問し、中山成彬文部科学相が明らかにしました。

一部私大上回る状況も

 石井氏は「八十一億円で若者の夢を奪い、大学を疲弊させるべきではない」として、政府に値上げ撤回を求めました。

 値上げ後の学費は五十三万五千八百円になり、入学料二十八万二千円と合わせた初年度納入額は八十一万七千八百円。私立大学との格差は縮まり、一部の私大より高い逆転状況もおきています。

 石井議員は、政府の値上げ計画が昨年末ぎりぎりに通知され、現場に混乱が生じていること、国立大学協会や各地の大学学長が据え置きや再考を求めていることを指摘。国立大学を法人化する法案審議のさい、当時の遠山敦子文科相が「授業料が高くなってしまったり利用しにくくなったりということは、これは絶対避けなくてはいけない」(二〇〇三年六月十日、参院文教科学委)と答弁していたことを示し撤回を迫りました。

 中山文科相は「確かに高くなっていると思う」と認めながら、「できるだけ値上げしたくないと予算折衝に臨んできたが、結果的にこういうことになった」と答えました。

国立大学学費値上げ検討状況

値上げ(48大学)

 室蘭工業、帯広畜産、岩手、山形、茨城、筑波、東京外国語、東京学芸、東京農工、東京海洋、電気通信、横浜国立、新潟、上越教育、金沢、福井、岐阜、静岡、名古屋、京都教育、京都工芸繊維、大阪、大阪教育、兵庫教育、神戸、奈良女子、和歌山、鳥取、岡山、広島、山口、徳島、香川、高知、福岡教育、九州、九州工業、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、鹿屋体育、筑波技術短期、北海道教育(大学院修士課程据え置き)、小樽商科(前期分据え置き・後期分から標準額どおり)、東京(大学院博士課程据え置き)、愛媛(9600円改定)

据え置き(1大学)

 佐賀

未定(40大学)

 北海道、旭川医科、北見工業、弘前、東北、宮城教育、秋田、福島、宇都宮、群馬、埼玉、千葉、東京医科歯科、東京芸術、東京工業、お茶の水女子、一橋、長岡技術科学、富山、富山医科薬科、山梨、信州、浜松医科、愛知教育、名古屋工業、豊橋技術科学、三重、滋賀、滋賀医科、京都、大阪外国語、奈良教育、島根、鳴門教育、琉球、総合研究大学院、政策研究大学院、北陸先端科学技術大学院、奈良先端科学技術大学院、高岡短期(2月14日現在、文科省調べ)


国立大学の授業料標準額

 国立大学の学費は、〇三年度までは毎年国の予算で決められていました。国立大学が法人に移行した〇四年度からは、政府が標準額を定め、その110%を上限として、各大学法人が決めるしくみに変わりました。



もどる
日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ

著作権についてリンクについてメールの扱いについて
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7  TEL03-3403-6111 FAX03-5474-8358 Mail:info@jcp.or.jp