2005年2月13日(日)「しんぶん赤旗」

対決演出してみるが

郵政民営化

政府 対 自民

4分社化「異論なし」


 「要は成立させること。提出時期はよく(自民党と)協議しながら判断したい。(法案提出期限の三月中旬には)別にこだわらない」

 小泉純一郎首相は八日夜、郵政民営化法案の国会提出時期について記者団にこう答えました。

解散風で引締め

 一方で九日には「廃案にさせることは小泉内閣不信任だし、小泉退陣要求の倒閣運動と受け取るのが自然だ」(内閣記者会のインタビュー)と発言しました。

 与党との協議を尊重する姿勢をみせながら、一方で民営化の具体案でまとまり切れていない党内を「解散風」で引き締める作戦。今国会でなんとしても成立させようという執念を示したものと受けとめられています。

 今年に入って政府は郵政民営化を与党側と協議する検討委員会をスタート。さらに自民党、公明党それぞれと個別に話し合う検討委員会も開いて、民営化案のすり合わせをしています。

「もう時代の流れ」

 現在の郵政事業を、郵便、郵便局窓口ネットワーク、郵便貯金、簡易保険の四分社化にすることでは、双方に異論はありません。

 「郵政民営化はもう時代の流れであって、やむをえない」。二日の衆院予算委員会で質問にたった自民党の久間章生総務会長(旧橋本派)は政府が昨年九月に閣議決定した「郵政民営化の基本方針」を前提に、郵貯・簡保の資金運用や郵政職員の身分などで竹中平蔵郵政担当相らとやりとりしました。「どういう形で民営化しなきゃならないのかの説明をしてほしい」(久間氏)というのが党内の議論をまとめる立場の執行部の関心事です。

族議員への配慮

 政府は十日の自民党との協議で、郵貯、簡保のユニバーサル(全国一律)サービス維持として、新たな基金を設立し、過疎地などで採算割れした場合の赤字補てんを行う仕組みを創設するなど四項目の案を提示しました。民営化によって特定郵便局との結びつきが断たれる危機感を抱く郵政族議員の主張を考慮したものですが、現在の郵貯・簡保の金融サービスを採算重視の民間金融機関と競わせることには変わりありません。

 郵政民営化反対を掲げてきた自民党郵政事業懇話会会長の綿貫民輔前衆院議長は、「反小泉」議員らが集まった七日の勉強会で、「郵政(民営化反対)ではない。議会制民主主義が危機にひんしているのを憂えている」と強調しました。党内の「反対」も、民営化の中身より小泉首相の議論の進め方を問題視しています。

 政府として取り組むべき重要課題をたずねた内閣府のインターネット世論調査(一月七日から六日間)では、郵政民営化は十項目の政策課題のうち八番目にとどまりました。今国会で郵政民営化法案の成立を狙う小泉内閣と国民世論との距離は広がるばかりです。



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