2005年1月31日(月)「しんぶん赤旗」

'05東京都議選

超高層ビルどんどんと

都予算を湯水のように使う

ヒートアイランドも加速

自民、公明、民主 大企業の街推進


 財界の意向を受け、国、東京都が一体となって進める「都市再生」プロジェクト。超高層ビルを林立させ、大型幹線道路を縦横にめぐらす「都市再生」は、東京に何をもたらしているのか――。中村圭吾記者

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 都内で進む超高層ビルの建設ラッシュ。都の要望をうけて国が「都市再生緊急整備地域」(都内七カ所)に指定した東京駅周辺では、八重洲口のツインビル(二百メートル二棟)、丸の内口の「東京ビル」建て替え(百六十四メートル)、「新丸の内ビル」建て替え(百九十八メートル)など、超高層ビル計画がめじろ押しです。

 一連の計画は、三菱地所が一九八八年に、容積率(敷地面積に対する延べ床面積の比率)1800〜2000%を想定し、計画した「丸の内マンハッタン計画」をほうふつとさせます。

都心集中の計画

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東京湾から海風をさえぎる汐留の超高層ビル群=東京・港区

 従来の基準をはるかに上回る高い容積率を認める計画は、「都心集中を是正する」という当時の都の都市政策に反していたことから、お蔵入りになったもの。ところが、石原都政が、都市政策を、都心集中の是正どころか、促進へと百八十度転換したため、計画が息を吹き返しました。

 都は、計画を認めるため、東京駅が利用していない空中部分の容積率を開発地域に移して容積率を積み増しするという手法を全国で初めて導入。昨年十二月の都の都市計画審議会は、新丸の内ビルの容積率を460%上乗せし、1760%にする計画を、やすやすと認めてしまいました。

 この都計審で反対したのは日本共産党の松村友昭都議だけ。自民、公明、民主の各都議は、それについて一言も述べることなく賛成しました。

都の財政を圧迫

 石原都政は、乱開発を抑制してきた規制を取り払い、大企業・ゼネコンの開発を支援する一方、「都市再生の中核をなすのは社会資本の整備」(二〇〇三年度、知事施政方針演説)などとして、「都市再生」関連の大型開発に、都の予算を大盤ぶるまい。首都高中央環状線、羽田空港再拡張など、都が支払う必要のない首都高速道路公団や国の事業にまで、湯水のようにお金を投入してきました。

 「都市再生」の名による大型開発への過大な投資は、都の財政を圧迫。都の借金残高は六兆九千億円(一般会計。〇四年度末)に膨らみ、都民一人あたりの借金額は五十五万円と過去最悪の水準となってしまいました。

 無計画な大型開発は、東京の環境にも重大な被害をもたらしています。

 超高層ビルの建設ラッシュは、新たな自動車交通を招き、大気汚染公害の原因となっているNO2(二酸化窒素)を増大。都はNO2削減計画の目標達成年度を〇五年度から、五年後の一〇年に先延ばししてしまいました。

 品川、汐留、丸の内などに建設された巨大ビル群は、東京湾からの海風を遮断。ヒートアイランド現象の加速により、昨年夏には、足立区で四二・七度(都環境科学研究所)の東京での観測史上最高気温を記録。真夏日(日中の最高気温が三〇度以上の日)は六十八日にも及んでいます。

アセス条例改悪

 自民、公明、民主などの都議会「オール与党」は、この問題だらけの「都市再生」をあおってきました。

 自民党は「いま必要なのは、均衡ある国土の発展ではなく、首都圏のポテンシャルを高めること」と主張。公明党も「都市再生」を「わが党がかねてから主張していたもの」と賛美し、石原都政が「都市再生」推進のために十兆円を投入するプロジェクトを発表した時、「意欲的政策展開」と評価しました。

 民主党に至っては「都市再生を着実にすすめるために、都債の追加発行による投資的経費の増額を」と主張。借金を増やすことまで提案しています。

 なかでも露骨だったのは、〇二年六月の自民、公明、民主によるアセスメント条例の改悪です。

 「まちづくりの取り決めさえできていれば、あえて環境影響評価を行う必要がない」(自民)などとして、高さ百メートルのビルを対象としていた制度を、百八十メートル未満のビルは対象外になるように改悪。東京駅周辺の「丸ビル」(百七十九メートル)は、わずか一メートル高さを下げることでアセスの適用を免れ、建設されました。


日本共産党

大型開発に偏重した都政の転換求める

 日本共産党は、「都市再生」の誤りを指摘し、大型開発に偏重した都政から、都民のくらしを優先する都政に転換するよう求めてきました。

 超高層ビルの林立は、ヒートアイランド現象をいっそうひどくし、自動車交通を増大させると指摘し、高速道路建設では渋滞も大気汚染も解消できないことを示して追及。これには、石原知事もまともに答えられず、「オフィスの増加がもたらす悪影響」を指摘した日本共産党の論戦を、都政専門紙は「周到な準備がされていた」(「都政新報」、〇三年二月二十八日付)と評しました。

 日本共産党は、秋留台開発、青梅・永山丘陵開発などの大型開発について、税金の浪費や環境破壊の問題を指摘し、見直すよう提案。住民運動が広がるなかで、中止・凍結させています。


 容積率 建物の敷地面積に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合。都市計画法は、地域ごとに用途(住居、商業など)を指定し、定められた容積率以上の建物は建てられないように規制しています。容積率が高くなればなるほど、建物の高さも高くなります。



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