2005年1月29日(土)「しんぶん赤旗」

若者よ、この犯罪を直視して

アウシュビッツ解放60年 欧州各地で行事

あらためて歴史教育重視


 【ベルリン=片岡正明】ポーランドのオシフィエンチムで二十七日、氷点下で雪が舞う悪天候の中、アウシュビッツ解放六十年式典がおこなわれ、参加者は、アウシュビッツという「地上の地獄を二度と起こさない」決意を表明しました。


民主国家の良心

 「アウシュビッツを二度と許さないことが民主的な国家の良心だ」。シンティ・ロマ(ジプシー)欧州協会の会長、ロマニ・ローゼ氏は「当時のナチス・ドイツやナチスの占領地域からシンティ・ロマは追放され、拷問と虐殺の対象になった」と語りました。

 みずから収容者としてアウシュビッツを体験したフランスのシモーヌ・ベイユ元厚生相は「数百万人のユダヤ人の子どもや若者がアウシュビッツや他の収容所で殺されたことを忘れることはできない」と強調。「反ユダヤ主義、人種差別主義、憎しみ、不寛容に対して一緒にたたかおう」と呼びかけました。

 ロシアのプーチン大統領は「(アウシュビッツを)二度と起こさない責任をわれわれは持っている」とのべました。

 シラク仏大統領はフランスでもナチス占領下で八万人のユダヤ人が追放されたことを指摘し、これに協力したフランスの責任に言及しました。

 ケーラー独大統領は「若い世代にこの人類的な犯罪を直視するよう求めたい」と語りました。

 イスラエルのカツァブ大統領はホロコースト(大量虐殺)の事実を否定しようとする動きがあることを警告しました。

 アウシュビッツは絶滅収容所といわれる収容者の処刑を目的とした収容所の一つ。ナチス・ドイツは欧州でユダヤ人を中心に、シンティ・ロマ、障害者、ソ連軍捕虜や同性愛者、政治囚など約六百万人を毒ガスや人体実験などにより殺害しました。アウシュビッツで殺された収容者は百十万人から百五十万人といわれます。

統一の記念日に

 一方、欧州各地でもアウシュビッツ解放六十年の行事、集会がおこなわれました。スウェーデンのストックホルムでは、大戦中に数千人のユダヤ人の亡命を助けた外交官を顕彰。ドイツでは、ドレスデン、ドルトムント、ニュルンベルクで「ホロコースト追悼」の集会・行事がおこなれました。イタリアでは二十七日を「記憶の日」として各地の学校で討論会や映画上映、展示会が繰り広げられました。

 欧州議会は二十七日、この日を欧州で統一の記念日とすることを呼びかけました。欧州議員の提案ではホロコーストと第二次世界大戦を欧州連合(EU)各国の学校の歴史の授業で学ぶよう呼びかけています。欧州各国はこれまで、一月二十七日をそれぞれ「ナチスによる犠牲者を記念する日」(ドイツ、一九九六年から)「ユダヤ人絶滅、イタリアにおけるユダヤ人迫害を思い起こす記念日」(イタリア、二〇〇〇年から)などと定めています。



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