2005年1月26日(水)「しんぶん赤旗」

クルド難民強制送還 どう考える?


 〈問い〉 政府は、難民のクルド人親子をトルコへ強制送還しました。日本共産党は難民について、どのように考え、対応しているのですか?(高知・一読者)

 〈答え〉 1月18日、法務省入国管理局はトルコ国籍のクルド難民の親子2人を本国へ強制送還しました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が「マンデート難民」と認めたのに、日本政府の判断として難民とは認めなかったものです。

 「マンデート難民」とは、難民条約で定義される「難民」に該当するか否かにかかわらず、UNHCRが難民として保護する必要があると判断し、難民と認定した人です。UNHCRは各国政府に難民として取り扱うように要請しています。

 今回のケースで法務省入国管理局は「UNHCRとは難民の解釈や認定の目的も違う。手続き過程で虚偽の申請もあり、送還が相当と判断した」(「朝日」19日付)とされています。

 これにたいし、UNHCRは、プレスリリース「前例のない難民送還に懸念」を発表。「国際難民条約上禁止されている『ルフールマン』(迫害を受ける危険性のある領域に人を送り返すこと)」の行為にあたると指摘しています。

 日本共産党は、個々のケースの「申請内容」等を知りうる状況になく、難民認定の裁定の当否を断定する立場にありません。しかし、難民として保護を求めてきた人に対しては、条約難民(難民条約で正式に難民と認められた者)であろうとなかろうと政府は保護する責任と義務があります。その保護の責任をとらず、本人の意思に反して迫害を受ける可能性のある国に送還したという点で、今回のケースは不当であったと考えます。

 根本には、日本では難民認定が厳しすぎるという問題があります。日本共産党は、人道的立場から難民受け入れに対処するように、国会で随時とりあげて追及(昨年は、井上哲士参議院議員が法務委員会で質問・追及)してきており、今後も、日本が難民条約に沿った秩序ある受け入れを進めていく体制を整えるために、力を尽くしていきます。(米)

 〔2005・1・26(水)〕



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