2005年1月23日(日)「しんぶん赤旗」

NHK番組への政治介入問題

都合のいいことだけ流すのは
放送法に反しないか


 NHKのニュースがまるでNHKの広報番組の様相をていしています。

 十三日、長井暁NHKチーフ・プロデューサーが番組への政治介入を内部告発する会見をおこないました。NHKはその夜「政治的圧力で『改変』が行われたという担当デスクの主張は間違い」とする、関根昭義放送総局長の見解を発表。ニュースで繰り返し放送しました。そのニュースからは長井氏がなにを告発したのかはわかりません。

 十九日、夜七時のニュースには、関根総局長が会見し、「圧力はなかった」とする、NHKのコンプライアンス(法令順守)推進室の報告を発表。また当時、放送総局長だった松尾武NHK出版社長も会見に同席し、「朝日」の取材を批判、同時に「憶測でものを言う、ジャーナリストとはなんなのか。(長井氏を)許せない」と切って捨てました。さらに介入したとされる安倍晋三氏、中川昭一氏のコメントも放送。NHKへの批判はまったく無しの、一方的な放送でした。それを九時、十時のニュースでも繰り返しました。その後のニュースもNHKの立場を流すだけです。

 放送法第三条の二は「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を定めています。テレビでは放送されませんでしたが、十九日の会見で関根総局長は放送法のこの条文を引き、「できるだけ多くの立場から論点を明らかにする」を番組改変の理由としています。ところがニュースでは、「意見が対立している問題」なのに、自分の都合のいいことだけを流す。これは放送法違反ではないのか。

 視聴者・国民が知りたいのは「NHK対『朝日』」ではありません。憲法と放送法に違反する政治介入があったのではないか、ということです。

 必要なのは事実に照らして検証する事です。予算の専門家でもない放送総局長がなぜ、安倍氏への予算説明についていかなければならないのか。「非常にバランスのとれた番組」と安倍氏に説明しておきながら、なぜ放送前日、当日に番組を四分も短くしたのか。NHKはただ「圧力は感じなかった」と言うのみで、なにも説明していません。

 NHKは視聴者の受信料で成り立つ公共放送です。幹部の言い分だけを一方的に流すことは幹部によるNHKの私物化です。NHKが言論機関であろうとするなら、この問題の真摯(しんし)な検証こそが必要です。

 (O)



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