2005年1月22日(土)「しんぶん赤旗」 経営者、海外からも異論、反論定率減税の縮小・廃止 “景気にマイナス”「景気対策の一環として導入した定率減税は、経済情勢を踏まえ、来年の一月から所得税、六月から個人住民税について、それぞれ半減する」。小泉首相は二十一日の施政方針演説で、増税路線に踏み出すことを宣言しました。しかし、財界や自民党幹部、海外メディアからも異論・反論が噴出しています。 定率減税は、所得税額の20%(最大二十五万円)、個人住民税額の15%(同四万円)を差し引く減税です。減税規模は三・三兆円です。一九九九年に景気対策の一環として、法人税減税や金持ち減税とともに導入されました。 小泉内閣と与党の自民・公明両党は「景気回復」を理由に、定率減税の縮小・廃止(半減で一・六五兆円、廃止で三・三兆円の国民負担増)をもくろみ、二〇〇七年度からの消費税増税につなげようとしました。小泉内閣は「景気は上り坂の調整局面」(竹中平蔵経済財政担当相)と強気の見方で乗り切ろうとしたものの、政府発表の経済指標は次々と景気の減速傾向を裏付けました。 このため、「景気へのダメージを覚悟の上で」(石弘光政府税調会長)と強引な形で定率減税の縮小・廃止に走ろうとしましたが、小泉政権のおひざ元から、懸念の声が噴き出しました。自民党幹部だけでなく、小泉首相が議長を務める経済財政諮問会議でも、四人が懸念を表明。竹中経済財政担当相が押し切り、懸念を表明していたメンバーも「妥協」(奥田碩日本経団連会長)。〇五年度政府予算案に低率減税の半減が盛り込まれましたが、「個人消費にたいして悪い影響がでかねない」(北城恪太郎経済同友会代表幹事、一月五日の記者会見)と、その後も財界や経済界からは、異論の声が消えません。 消費税増税の矛盾浮き彫り企業経営者にも、増税路線への強い警戒感があるのは、「リストラ、外需頼み」による業績回復をはかってきたものの、米国や中国経済に先行き不透明感が漂い、リストラによる雇用・収入不安から国内消費が冷え込んだままのため。 景気が持ち直しかけていた一九九七年に橋本内閣が消費税増税など九兆円負担を強行し、「橋本不況」を招いたことから、今回も「景気の失速招きかねない」(広瀬正典新キャタピラー三菱社長、日刊工業新聞一月五日付)など経営者トップから定率減税縮小・廃止への異論が出ています。財界が消費税増税の旗をふることの矛盾も浮き彫りになりつつあります。
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