2005年1月22日(土)「しんぶん赤旗」

国会の視点

10年来の願い、今国会で

被災者生活再建支援法改正案の提出

住宅本体へ国が支援する時


 日本共産党、民主党、社民党の野党三党は通常国会が開会した二十一日、被災者生活再建支援法改正案を共同で提出しました。その中心は、多くの被災者が心から望んでいる「住宅本体再建への公的支援」に道を開くことにあります。

個人補償が焦点に

 住宅が災害で大きな被害を受けたとき、国が支援の手をさしのべるのかどうか。阪神・淡路大震災発生から十年、このことが政治の世界で問われ続けてきました。

 阪神・淡路大震災では生活の土台に打撃を受けた被災者が復興に立ちあがろうとしたとき、政府・与党の冷たい姿勢が大きな壁となって立ちはだかりました。“日本は私有財産制の国だから個人の財産への補償はできない”と拒んだのです。

 日本共産党は震災直後から、奪われた生活基盤の土台となる住宅再建に国が支援するのは、憲法で保障された生存権、生活権の問題だとして、個人補償を求め続けてきました。一九九六年に災害被災者の住宅・生活再建に合わせて一千万円まで支給する法案大綱を発表し、超党派によるとりくみを追求。九七年には小田実氏らをはじめ被災者、市民の運動と連携し、参院六会派で住宅全壊に上限五百万円を支給する災害被災者支援法案を国会に提出しました。

 こうした運動のなかで、九八年には被災者生活再建支援法が成立。昨年三月に改正され支給金額が最高三百万円に引き上げられました。しかし、支給の対象が住宅の解体・撤去など周辺経費に限られ、肝心の住宅本体の建設費や補修費は認められていません。

 すでに地方自治体レベルでは二〇〇〇年の鳥取県を皮切りに〇四年の新潟県など多くの県で住宅本体への支援制度を独自に実施しています。全国知事会でも住宅本体の建築費、補修費を支給対象にするよう提言。世論調査でも被災住宅の再建費用を国が出すことに賛成の意見が八割にのぼります。

憲法上の制約ない

 日本共産党の高橋千鶴子議員は二〇〇四年三月の衆院災害対策特別委員会で「(住宅)本体に支援をしてはいけないという何らかのルールがあるわけではないですね」と政府側に詰めより、井上喜一防災担当相(当時)は「憲法に規定されたり法律には書いてありません」と認めました。“個人の財産に補償はできない”という政府の言い分は憲法上の制約ではありません。政府の政策判断の問題なのです。

 野党三党は昨年の臨時国会にも改正案を提出しましたが、衆院災害対策特別委でわずか一時間審議しただけで、与党の主張により廃案とされました。

 この十年、国の「壁」を、運動が少しずつ突き崩し、支援法を改善する成果をあげてきました。さらに進んで住宅本体への支援に踏み切るかどうかが、この国会での大きな焦点です。

 古荘智子記者



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