2005年1月8日(土)「しんぶん赤旗」

教育基本法改悪

「愛国心」表現めぐって…

自民 詰めに入るべし

公明 国民に浸透を優先


 教育基本法の改悪内容を条文にまとめることをめざす自民、公明の与党検討会は、「愛国心」をどういう表現で「改正」法案にもりこむか、結論がでないまま新年を迎えました。一月下旬開会の通常国会の会期中に法案提出をめざす自民党。これにたいし公明党の神崎武法代表は新春幹部会(四日)で「愛国心」を「狭小(きょうしょう)な議論」などとのべました。

 自民、公明両党は昨年六月に教育基本法改悪をもりこんだ中間報告で合意。現在、両党の担当者でつくる検討会で条文化の作業を続けています。条文の素案づくりを文部科学省に求め、「お正月の間に第二次素案をつくってもらうことで合意し、その宿題を文科省になげかけた」(自民党・保利耕輔衆院議員)ところです。

「容認」では同じ

 焦点となっている「愛国心」をめぐっては、自民党が「郷土と国を愛し」と条文に盛り込むことを要求。公明党は「郷土と国を大切にし」とする表現で容認しようとしています。前文を含め、基本法の全面的書き直しでは合意している両党ですが、どちらの表現で「愛国心」をもりこむかについては結論がでていません。

 基本法改悪は、二〇〇三年三月の中教審(中央教育審議会)答申を受けて、与党協議がスタートしました。この三月には答申から二年たつことから、検討会で自民党側は「(法案化の)詰めに入るべし」と結論を急ぐ姿勢を強めています。

 改憲団体などが開いた「教育基本法改正を求める中央国民大会」(〇四年十一月二十九日)には多数の自民党議員が出席。平沼赳夫前経済産業相は「憲法と教育基本法は一日も早く脱ぎ捨てるべきだ。基本法には美辞麗句が並んでいるが、家族のきずなの大切さ、わが国の伝統文化、天皇を中心とする国柄、そういったものがすべて欠落している」とのべました。自民党を代表してあいさつした安倍晋三幹事長代理は「自民党としては『愛する』はゆずれない一線だ。鉛筆や消しゴムを大切にしようとはいうが、愛せよとはいわない。国家は鉛筆や消しゴム並みなのでしょうか」と発言。公明党をけん制しました。

通常国会へ法案

 法案化作業をすすめる中山成彬文科相は、年頭所感で「可能なかぎり速やかな改正をめざしてしっかり取り組む」(四日)とのべ、通常国会への法案提出方針に変わりがないことを明らかにしました。

 こうしたなかででてきたのが冒頭の神崎公明党代表の発言です。このなかで、改憲議論を推進する考えを強調しつつ、教育基本法「改正」について「残念ながら国民の間にはあまり取り上げられていない。その理由として、『愛国心』といったような狭小(きょうしょう)な議論が焦点になっていることがある。さらに、改正されたからといって、教育現場の問題が直ちに解決するわけではない、と国民は見ているのではないか」(公明新聞五日付)と指摘。「国民の理解を得るための努力とともに、国民が関心を持つ事項について幅広い議論が必要だ」(同)とのべました。

 自民党の「愛国心」一本やりの基本法改悪には距離を置いた形ですが、“時間をかけて国民に浸透させるほうが改悪を実現するうえで得策”との立場です。

 自民党は年明けの一月、通常国会開会直後にも与党検討会を再開したい意向です。「愛国心」をめぐる議論がどうすすむのか、通常国会提出で合意できるのか。危険な動きから目が離せません。



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