日本共産党

2004年11月20日(土)「しんぶん赤旗」

自衛隊元会計監査隊幹部が語る

所属の どの部隊でも裏金づくり

取り締まる警務隊から架空請求の協力依頼も


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 「私の所属したどの部隊でも裏金づくりをしていた」――。元陸上自衛隊会計監査隊一等陸尉の加藤好美氏(52)は十九日までに警務隊など自衛隊内の裏金づくりにかかわる体験を本紙に語りました。日本共産党の緒方靖夫参院議員の国会追及に防衛庁長官が調査・公表を約束したこの疑惑(昨日付本紙)。告発証言を紹介します。



 陸上自衛隊では、裏金づくりを末端だけでなく上級組織も当たり前のように行ってきました。おもな手口は、物品調達での架空請求とカラ出張です。

運用費のため工作をする

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東京・新宿区市谷にある防衛庁

 私が駐屯地の会計隊にいたとき、東北、関東の部隊を統轄する東部方面総監部の会計幹部から「五十万円分の旅費を出すから、半分バックしてくれ」などと頼まれました。つまりカラ出張をやれということです。

 上級から下級までどの部隊でも、通常経費で請求しにくい、隊の運用のための費用に使う金がほしい。協力しあって裏金工作をするわけです。

 カラ出張の場合は、部隊長が担当者に指示して架空の旅費請求書類をつくります。使う名義は一般隊員ではなく、尉官以上の幹部に頼みます。責任ある立場のほうが口が堅いですから。

 例えば五十万円分だったら、複数の協力が必要です。それぞれに「あなたは何月何日に出張できますか」と聞いて、出張しても不自然ではない日を選んで請求書類を作成します。

 駐屯地の警務隊にも依頼しました。警務隊は、自衛隊内の犯罪を取り締まるのが役割ですから、本来は断らなければならないはずです。しかし、実際はカラ出張の書類づくりを引き受けていたし、逆に警務隊の側から架空請求への協力を頼んでくることもありました。私は、岩手、仙台、古河の部隊にもいましたが、どの部隊でも警務隊のカラ出張に協力していました。

作った金は総務担当管理

 つくった裏金は部隊の総務担当が管理します。裏帳簿をつくり、上級部隊にいったときの「お土産代」、隊員の飲食費、幹部の交際費などに使います。裏金の額は部隊の規模によって違いますが、数十万から数百万円にのぼります。

 私は業務での物品調達のために便宜的に架空契約書を作成して五十五万円を支出したことを、「背任容疑」だとして二〇〇二年八月、警務隊に逮捕されました。しかし検察では不起訴となり背任容疑はなくなったにもかかわらず、規律違反者として懲戒免職にされたのです。

 十月に防衛庁長官に懲戒免職処分の不服申し立てを行いました。防衛人事審議会で審査中ですが、二年余をへても結論を出さず、たなざらしの状態です。申し立てには、私の問題だけでなく、自衛隊の不正を具体的に示しているのだから、早急に調査して回答してほしい。結局、自衛隊は個人ですべての責任を負わせようとしている。

 いま自衛隊は、イラク派遣で注目を集めています。しかし、私は外に出てみると、不正常なことがまかり通る組織が勢いづくことに、懸念を感じざるをえません。自衛隊に在籍した一人として反省の意味も込めて、組織ぐるみの不正義を告発します。



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