日本共産党

2004年10月13日(水)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ

(大要)


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議員団総会であいさつする志位和夫委員長=12日、国会内

 十二日の日本共産党国会議員団総会で志位和夫委員長がのべたあいさつ(大要)は次のとおりです。

 みなさん、ご苦労さまです。

 この国会は、世界と日本の大きな激動の中で始まりました。私は、小泉・自公内閣が、そういう内外の激動のもとでうまれているどの問題に対しても、まともな対応能力を失ってしまっている、これがいまの特徴だと思います。この角度から、この国会の課題についてのべたいと思います。

世界とアジアの流れに対応できず、孤立した姿をあらわにした自民党政治

 第一に、国際政治とのかかわりについていいますと、いまの自民党政治というのは、二十一世紀に世界とアジアでおこっている流れに対応できない、その姿をあらわにしてしまっています。

 今日の国際政治の一番の焦点はといえば、国連憲章を中心とした平和の秩序を築くのか、壊すのか、ここにあります。この間、そのどちらに未来があるかを象徴する二つの重要な出来事がありました。

 一つは、イラクの大量破壊兵器について、米国の調査団が、「イラクは大量破壊兵器を保有せず、開発計画もなかった」とする、最終報告書を発表したことです。これは、ブッシュ政権による侵略戦争の最大の口実が完全に崩壊したことを意味するものです。そして同時に、アメリカと同じ口実で戦争を支持した首相の深刻な政治責任も問われているわけです。

 ところが、首相の言い分を見ますと、ブッシュ大統領の判断に誤りがあったのかとの指摘に、「米国の立場と日本の立場は違う」、こう答えたというんですね。アメリカのいうことをうのみにし、おうむ返しにしてきた首相が、ここに至って「立場が違う」ということをいうのは(笑い)、まったく支離滅裂、対応不能としかいいようのないものであります。

 いま一つの大きな出来事は、わが党から不破議長と緒方国際局長が参加した、アジア政党国際会議でありました。北京で開かれたこの会議には、三十五の国から八十三の政党が参加しました。与党と野党、革新と保守の枠をこえ、アジアのほとんどすべての主要な政党が一堂に会した、画期的な会議になりました。それだけ多様な会議でしたが、国連憲章にもとづく平和秩序―「戦争のない世界とアジア」への方向をはっきり打ち出した北京宣言を採択するという大きな成果をおさめました。わが党の不破議長の発言は、この会議の流れにぴったりかみあったものとして、大きな反響を呼びました。

 ところが、自民党は、この会議についても文字どおり対応不能でした。何しろ参加しなかったわけですから(笑い)。しかも、この日本の政権党が参加しなかったことに、会議の出席者から問題にもされないし、気にもされないということでした。ここにも世界とアジアの流れから取り残され、みじめに孤立した自民党政治の姿があらわれていると思います。

 この二つの出来事にてらしても、いかにいまの自民党政治というものが、世界の大きな流れのなかで孤立し破たんした立場に立っているかは、明らかです。相手がそういう立場に立っているということをのみこんで、大いに意気高く論戦をすすめていきたいと思います。

日本の政治の緊急の諸課題――政治とカネ、年金改悪、基地再編について

 第二に、日本の政治はどうかを見てみますと、自民党政治は、国民がいま怒りに感じ、不安に感じているどの問題に対しても、まともな答えが出せない。ここでも対応不能ぶりは明りょうであります。

政治とカネ――いまこそ企業・団体献金の全面禁止にふみこめ

 政治とカネの問題は、この国会の最大の争点の一つとなっています。この問題で、一億円のヤミ献金問題の真相究明は当然です。しかし、首相はひとごとのような顔をしていられる立場にないということを強調しなければなりません。あの「迂回(うかい)献金」の問題、すなわち日歯連マネーが、国民政治協会、自民党本部を経由して個々の政治家に流れるという、「自民党ぐるみ」の疑惑がいま問われているわけです。ところが、政府与党の対応を見ますと、そのことに対する自覚もない。なくそうという姿勢もない。与党が検討している政治資金規正法改正案なるものを見ますと、「迂回献金」に対して指一本触れない、言語道断の代物といわなければなりません。

 この問題で、本気になってヤミの構造をなくそうと思ったら、資金の出どころの「元栓」を閉める以外に道はありません。すなわち、政治家個人に対する献金はもとより、政党に対する献金も含めて、企業・団体献金を全面的に禁止する、そこに踏み込むしか道はないということは、いよいよ明りょうになっています。その立場を主張し、身をもって実践している党として、大いに頑張りぬく決意を固めあいたいと思います。(拍手)

年金問題――破たんが明らかなしかけをこのまま実施させるわけにはいかない

 年金問題では、法改悪は強行されましたが、これをこのまま実施にうつしていいのかは、ひきつづき国政の重大問題です。政府は、国民多数の反対を押しきって、この十月から保険料の値上げを強行しました。しかし、これは幾重にもでたらめなやり方です。だいたい、出生率を見ても、国民年金の納付率を見ても、厚生年金の赤字の額を見ても、あの法律が根拠とした数字が崩れ去って、政府が計画していた負担と給付の設計図すら成り立たなくなっているにもかかわらず、負担増と給付減を予定どおり押しつける。車でいえば、欠陥車であることが明りょうになって、リコールは必至という状態にもかかわらず、無理やり国民をそれに乗せていこうという、そういうでたらめを強行しているのです。

 それにくわえてもう一点重視すべきは、政府・与党が、基礎年金の国庫負担二分の一をまかなうための財源として、定率減税の縮小・廃止に、いよいよ来年度、再来年度で踏み込もうとしていることです。これが強行されますと三・三兆円の大増税です。さらにこの大増税のつぎに、いよいよ本命の消費税増税を押しつけるということが、政府・与党の計画であります。しかし、そもそも基礎年金の国庫負担の引き上げは、何のために求められたのか。保険料負担を抑えるためでしょう。保険料負担を抑えるためといってすすめたはずの国庫負担の引き上げなのに、その財源が庶民大増税というのは、国民にはまったく納得のいかない話です。

 改悪年金法に対しては、この九月の世論調査でも、国民の78%が「白紙に戻せ」といっているものです。わが党は、その声を代弁して、白紙に戻し、やり直して、安心できる年金制度をという論戦を、この国会で力いっぱい展開していきたいと思います。

米軍基地――「殴りこみ」部隊の縮小と撤去を正面からもとめるべきだ

 もう一点のべておきたいのは米軍基地の問題です。いますすめられている米軍基地の世界的規模での「再編」のなかで、在日米軍基地をどうするのかが問われています。私は、「再編」というのであれば、日本の米軍基地の異常な特質――海兵隊と空母打撃群という二つの「殴りこみ」部隊をその主力としているという、世界に類例のない異常な特質を正面から直視し、その縮小と撤去を、いまこそ求めるべきだと思います。

 ところが、政府がやろうとしているのは、正反対のことです。首相は、「沖縄の負担軽減」を口実に、基地を本土に移設するという話をもちだしていますが、これは海兵隊基地の拡張そのものです。いま世界でどの国が海兵隊の拡張の要求をしているか。そんな国は日本だけです。

 さらに神奈川の米軍キャンプ座間に米陸軍第一軍団司令部をもってくるという構想がすすめられようとしています。ところがこの陸軍第一軍団の作戦地域は、アジア・太平洋、インド洋、東アフリカの沿岸までの広大な地域です。その司令部が日本にやってきて、その司令官が在日米軍全体を統括するということになれば、在日米軍の活動地域を「極東」とした安保条約の建前からいっても到底説明のつかない、安保体制の無法な拡大・強化ということになります。

 こうして小泉内閣は、政治とカネ、年金問題、米軍基地、いま熱い焦点になっているどの問題でも、国民の願いにまったく背を向け、道理も立たなければ理屈も立たない道をすすもうとしている。この内閣が熱中しているものが「郵政事業の民営化」です。しかし「改革の本丸だ」とどんなに首相が旗を振ろうと、国民は期待を寄せません。あらゆる世論調査にそれはあらわれています。それはこの構想が、もともと国民の利益から出発した計画ではなく、大銀行のもうけのための計画だからです。そこに熱中するというところに、国民の気持ちとはおよそかけ離れた世界に、この政権が立っているということが、まざまざとしめされていると思います。

政治の土台のゆがみただす党の値打ちをきわだたせる国会に

 そして私は、こうした世界と日本のあらゆる問題に対する自民党政治の対応能力の喪失状況の根底には、アメリカいいなりと大企業奉仕という政治の土台のゆがみがある、この政治の古い枠組みが二十一世紀になっていよいよ危機を深めてきた、それがあらゆる問題でのゆきづまりにあらわれていると思います。このゆがんだ政治の土台に立っていることでは、立場が少しも変わらない「二大政党」では、いまの自民党政治の危機を打開する力も能力もありません。

 今日の情勢は、このゆがんだ政治の土台そのものを改革する展望と力をもっている日本共産党のがんばりを強く求めています。二中総では、「二大政党制づくり」の動きとのかかわりで日本共産党の議席のもつ値打ちを、「六つのポイント」で示したわけですが、この国会ではこの「六つのポイント」を実践し、豊かにし、日本共産党の存在ここにありという奮闘を展開するために、お互いに知恵と力をつくしたいと思います。自民党政治のもっともきびしい追及者としての役割を、政治とカネの問題でも、イラクの問題でも、一番の本質をずばり突く論戦ではたしていく必要があります。

 国民の苦難と要求にこたえた活動という点では、年金、介護、雇用、基地、農業、災害など、どれ一つとっても国民の苦しみと不安は各分野できわめて深いものがあります。その一つひとつについて、国民の苦しみに心をよせ、問題の根本の本質はどこかを明らかにしながら、一歩でも二歩でも現実に政治を動かす実績を積み上げていく努力をはかろうではありませんか。

 「二大政党」が共同ですすめてくる悪政―消費税増税と憲法改悪に対して、正面から立ち向かえる立場と力をもっているのは日本共産党だけです。「九条の会」の動きをみても、いま澎湃(ほうはい)として国民的運動が起こりつつあるなかで、この国民的運動に連帯し、大きな希望と展望をしめす論戦にも力をつくしたいと思います。

 全国での草の根の運動やたたかいに連帯しながら、日本共産党の値打ちをかがやかせる国会にするために、お互いに知恵と力をつくす決意を最後にかためあいまして、ごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(拍手)



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