日本共産党

2004年7月28日(水)「しんぶん赤旗」

関税引き下げ方式とは?


 〈問い〉 農産物の貿易ルールをめぐって、言われている関税引き下げ方式とは?(大阪・一読者)

 〈答え〉 現在、WTO(世界貿易機関)の場で農産物の貿易ルールをめぐる交渉が行われています。関税引き下げ方式とは、そこで焦点の一つになっているテーマで、輸入を抑える役割をもつ農産物関税をどう引き下げるのか、各国に共通して適用される枠組みづくりのことです。

 これまでの交渉で、アメリカ・EUの輸出国、ブラジルやインドなど途上国グループ、日本や韓国など食料純輸入国からさまざまな方式が提案され、意見が対立してきましたが、7月中旬、交渉の議長から合意案が示され、七月末の合意にむけて重要な局面を迎えています。

 合意案は、現在の関税率が高い品目ほど引き下げ幅を大きくする方式(階層方式)を採用し、関税率に上限を設け、すべての品目の関税率をそれ以下に引き下げる方式(上限関税)も検討課題にあげています。

 これらはアメリカなど輸出国の提案にそったもので、日本にとっては、コメ(490%)など税率の高い品目で関税の大幅削減が迫られ、外国産の大量輸入、国内農業の崩壊につながらざるをえません。

 合意案には、輸入国の反発にも配慮し、各国にとって重要な品目(日本のコメなど)については「柔軟性を与える」として関税の大幅削減を適用しないかのような表現も盛り込まれています。しかし、その場合も、低関税での輸入枠の拡大、コメでいえばミニマムアクセス(最低輸入機会)の拡大につながる表現もあります。また、重要品目の数や選び方も明確でないなど、今後の交渉にゆだねられている部分が少なくありません。日本政府は「多様な農業の共存」が可能となる貿易ルールの確立を掲げています。それを真剣に貫くのであれば、貿易拡大を最優先する現行WTO協定の枠内での議論にとどめず、食料主権が確立できる貿易ルールの確立を求めるべきです。(橋)

 〔2004・7・28(水)〕


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