日本共産党

2004年7月5日(月)「しんぶん赤旗」

財界・米国いいなり病に
メス入れる本当の改革の党は

テレビ討論 市田書記局長力強く


 四日、参院選投票日前最後の日曜日におこなわれた「日曜討論」(NHK)「報道2001」(フジ系列)「サンデープロジェクト」(テレビ朝日系列)での各党書記局長・幹事長の討論。年金・消費税、イラク・憲法問題、景気・財政問題など熱い争点についてどの党が本当の改革を掲げているのかが鮮明になりました。出席者は日本共産党の市田忠義書記局長のほか、自民・安倍晋三、公明・冬柴鉄三、民主・藤井裕久、社民・又市征治の各幹事長。


憲法・自衛隊

紛争の話し合い解決が世界の大きな流れ

自・民 集団的自衛権行使できるように

 憲法九条の改悪で安倍氏は、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権について、「権利があれば、行使できるようにすべき」と表明。藤井氏も「個別的自衛権も憲法には書いていない。集団(的自衛権)を含めて書くということはやらないといけない」とのべました。冬柴氏は自衛隊の「合憲」化と海外派兵による「国際貢献」を可能にする「加憲」を強調しました。

 これに対して市田氏は、「自衛隊はすでに海外派兵を進めているが、憲法九条の制約があるために、政府も海外で武力行使をやるとはいえず、『非戦闘地域で活動する』などといわざるをえない。それでは米国から見れば間尺に合わない。最大のねらいは、憲法九条を変えて集団的自衛権を行使しようというところにある」と指摘しました。

 国連憲章が定める集団的自衛権が“加盟国が攻撃を受けた場合”に限られていることをあげ、「先制攻撃の戦争に協力できるようにしようというのは国連憲章にも反する」と批判しました。

 また、自衛隊の問題について市田氏は、「紛争を武力ではなく話し合いで解決することが世界の大きな流れだ。そのときに、国際貢献というとすぐ自衛隊だというのはどうなのか。米国いいなりではなくて非軍事の平和外交を進めるなかで、多くの国民が自衛隊は必要ないという状況が必ず来る」とのべ、米国の要求に沿った海外派兵を追認する憲法改悪ではなく、国民的な合意に沿った自衛隊の段階的解消、憲法九条の完全実施を主張しました。

イ ラ ク

占領軍・自衛隊は速やかに撤退すべきだ

自公 現地の世論無視して派兵に固執

 イラクの復興支援について市田氏は「イラクで世論調査をやると、占領軍が治安に役立っていると考えている人はわずか1%。人道復興支援を可能にするためにも、占領軍(多国籍軍)、自衛隊は速やかに撤退すべきだ。国連のイニシアチブで暫定政権とも可能な話し合いをしながら、日本がやれることを積極的にやっていく。あるいはNGO(非政府組織)や民間の支援をやっていくべきだ」とのべました。

 自民・安倍氏は「自衛隊を撤退させたらだれが代替するのか」などと主張。公明・冬柴氏は自衛隊を撤退させての復興支援に「それはおかしい」と発言し、ムサンナ州での「朝日」と現地紙の世論調査で自衛隊が歓迎されているとのべました。

 これに対し市田氏は「朝日の世論調査で大事な一点、“米軍が撤退してほしい”というのが70%ある。米軍が司令官として指揮をとる多国籍軍に日本の自衛隊が参加することは、米軍に帰ってほしいと思っているイラク人は(自衛隊も撤退してほしいという)そういう気持ちに変わりますよ」と指摘しました。

 また、冬柴氏が「イラクがテロリストの巣くつにされたら、(エネルギー供給をうける)日本の経済は壊滅的になる」などと発言したのに対し、市田氏は「テロの巣くつにイラクをしたのはだれか。あの間違った侵略戦争をやり、(イラクに)大量破壊兵器はあると断定して(侵略戦争に)賛成し、自衛隊の派遣オーケーだといった人にこそ責任がある。アメリカも、アルカイダとイラクの政権とのかかわりはなかったといっている」とのべました。

年  金

国民に負担かけないで給付維持が政治の責任

民主に公明「3党で政府案成立を合意」

 年金問題では、際限のない負担増と給付減を押しつける改悪年金法について、公明・冬柴氏が「このごろ笑い飛ばされているが、『百年安心プラン』はまったくそのとおりだ」と開き直り。自民・安倍氏は「年金に魔法はない」「放っておくと来年度四兆七千億円の赤字になる」と言い訳しました。

 市田氏は「政治の責任は、国民にできるだけ負担をかけないでどうやって給付を維持するかだ。(与党は)国民に負担を押し付けて給付を減らすことしか考えていない」と批判しました。

 “赤字になる”という言い訳については、改悪後も三兆八千億円の赤字で、その差額は九千億円であり、「基礎年金への国庫負担を、法律どおり三分の一から二分の一に引き上げれば穴埋めできる。過大にいうべきではない」と批判しました。

 民主・藤井氏は政府案に年金制度の「一元化」がないとのべましたが、冬柴氏から「三党合意で政府案を成立させることで合意したんですよ」と指摘されました。

 年金一元化について日本共産党の市田氏は「厚生年金と国民年金の格差をなくすことには賛成。しかし、今一番の問題は給付が低すぎることと保険料が高くて払えないこと。年金の底上げをはかる最低保障年金制度を全額国の負担で、消費税に頼らないでやることが一番格差是正になる」とのべました。

 日本共産党が提案している「最低保障年金制度」の財源について、市田氏は「税金の使い方と集め方を改める」と説明。税金の使い方を公共事業でなく社会保障中心に改めること、将来的には減らし続けた法人税を見直し、大企業に応分の負担をさせるべきだとのべました。

 民主・藤井氏は、消費税の3%引き上げを主張。「法人税は今の方がいい。戻す必要はない」とのべました。

消 費 税

“財源といえば消費税”の発想を転換すべきだ

自「必要な%」、公「積極的」、民「3%増」

 消費税引き上げの態度について「NO」とした市田氏は、消費税がフリーターや月額五万円未満の年金生活者など所得の少ない層に最も負担が重くなる「福祉破壊税」だと指摘。

 「財源というとすぐ消費税という発想を転換すべきだ」とのべ、ムダな歳出の削減とともに、大企業にヨーロッパ並みの応分の負担を求めて歳入を増やせば消費税に頼らなくてもやっていけるとのべました。

 自民・安倍氏は「必要な%」と回答。小泉首相が任期中は上げないとしていることについて「その間も議論しながら(平成)十九年度以降は必要であれば上げざるを得ない」とのべ、与党税制改正大綱の「消費税を含む抜本的税制改革」を実行する姿勢を示しました。

 公明・冬柴氏は「協議して積極的に」と回答。再来年までに介護保険の見直しと高齢者医療保険制度の導入を計画していることをあげ、「社会保障全般からみるとこの時期までには消費税という財源を考えなければならない。とくに高齢者医療は税、保険料、自己負担の組み合わせで大きく税の方に負担せざるを得ない」とのべました。

 民主・藤井氏は、年金目的消費税の「目的限定3%」と答え、民主党案の基礎年金部分の財源として消費税3%増税を充てるとのべました。

 社民・又市氏は「反対」と回答しました。

景気・財政

家計と中小企業犠牲を改めずに良くならない

自公「改革に成果」、民「リストラの成果」

 小泉「構造改革」について自民・安倍氏は上場企業の収益増大などをあげ「改革に大きな成果があり、景気はよくなっている」、公明・冬柴氏は「地方にも中小企業にも拡大していきたい」と発言しました。

 民主・藤井氏は「リストラの成果であって改革の成果ではない」とのべました。

 市田氏は「景気がよくなったかどうかを判断する一番大事な材料は国民の暮らし、中小企業がどうなったかだ」と指摘。サラリーマン世帯の平均所得が六年連続で減り、正社員が五年間で四百万人減らされてフリーター、派遣など不安定雇用に置きかえられ、三年間で中小企業融資が五十兆円も減ったことをあげて、大企業のもうけは「こうした犠牲の上に成り立っている」と強調。「こういう中小企業や雇用を大変にする政策を改めず、暮らしを温めなかったら、景気もよくならないし、借金も返せない」とのべました。

 安倍氏は「世界の中で勝ち残らなければ生き残っていくことはできない」と開き直りました。

 巨額の財政赤字について、安倍氏は「歳出カットは進めている」といいながら「高速道路はやる」などと強調。藤井氏は「十八兆円の(地方への)補助金をやめるべきだ」と主張しました。

 市田氏は「歴代自民党政治の大型公共事業中心の無駄遣いが根本にある」とのべ、国と地方、公団を合わせて公共事業に年間四十兆円、社会保障に二十五兆円という「逆立ち」財政を改めるべきだと主張。関西空港二期工事など無駄遣いの大型事業は見直しも行われていないことをあげて、財政再建のためにも思いきったメスを入れることが必要だと強調しました。


社民党、消費税上げるの? 上げないの?

 社民党の又市征治幹事長は四日のフジ系番組「報道2001」にテレビ出演したなかで、今後六年間で消費税を上げるかどうかの質問に対し、「反対」とのべました。

 ところが、同党の政策担当者である阿部知子政審会長は、社会保障全体の財源としての増税について「3%ぐらい」(「東京」二日付)と発言。また、福島瑞穂党首は「将来…考慮の余地はある」(「読売」三日付)とインタビューで答えています。

 テレビ討論の場では幹事長が消費税増税に反対をいいながら、党首や政策担当者は将来の増税を否定しない――これでは、社民党の本当の態度は消費税増税に賛成なのか反対なのか分かりません。有権者は判断に困るでしょう。(荘)


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