2004年6月10日(木)「しんぶん赤旗」
会員制月刊誌「選択」の子会社「選択エージェンシー」(東京都港区)側からテレビCMの発注などをめぐり現金百数十万円を受け取ったとして、警視庁捜査二課は八日、厚生労働省総務課広報室室長補佐の森隆行容疑者(48)を収賄容疑で、同エージェンシー社長尾尻和紀容疑者(51)を贈賄容疑でそれぞれ逮捕しました。
同課は九日午前、東京・霞が関の同省など数カ所を家宅捜索しました。 調べによると、森容疑者は社会保険庁石川社会保険事務局保険課長だった昨年二月と厚労省広報室室長補佐だった同四月ごろ、石川県内で放映された国民年金の制度を広報するテレビCMや冊子の発注で便宜を図った謝礼として、尾尻容疑者から東京都内で二回にわたり現金計百数十万円を受け取った疑い。
森容疑者は容疑を認めていますが、尾尻容疑者は「情報をもらったり業務を受注したことはあるが、現金を渡した記憶はない」と容疑を否認しているといいます。
森容疑者は二○○一年四月から○三年三月まで社会保険庁石川社会保険事務局に勤務。この間、同事務局はCMと冊子など六件、総額一千数百万円を発注し、すべてを選択エージェンシーが随意契約で受注しました。同社が同事務局から業務を受注したのは、森容疑者の在任中だけでした。
両容疑者は六、七年前に知り合ったといいます。
森容疑者は北海道の高校を卒業後、一九七四年、社会保険庁に入庁。同庁年金保険部や旧厚生省国民健康保険課庶務係長などを務めました。石川社会保険事務局のあと、昨年四月に厚労省広報室長補佐となりました。
選択エージェンシーをめぐっては、厚労省元企画官清水正斗被告(47)が約三百万円のわいろを受け取ったとして収賄罪で、同社営業部長杉山仁被告(41)が贈賄罪でそれぞれ起訴されています。