日本共産党

2004年3月31日(水)「しんぶん赤旗」

回転扉事故、警察に届けず

森ビル、連日発生も黙殺


 相次ぐ事故を黙殺――。東京都港区の「六本木ヒルズ」森タワーの自動回転扉での男児死亡事故で、管理する森ビルは、六本木ヒルズの回転扉で利用者が手や足を挟まれる事故が二日連続や一日に二件発生していたのに、開業以来、長期間にわたって抜本的な事故防止の対応を怠っていたことが明らかになりました。

 森ビルがまとめた回転扉での事故の一覧(表)を見ると、昨年四月のタワーオープン後、六月には女性が腕を挟まれる事故、男児が足を挟まれる事故が二日連続で発生し、七月五日と十九日には手や足を挟まれる事故が一日に二件起きていました。六月九日には男児が首を挟まれる事故がすでに発生していました。

 大阪府吹田市の溝川涼ちゃん(6っ)の死亡事故までに、六本木ヒルズの回転扉で起きた事故は計三十二件で、十件は救急搬送されています。

 森ビルは、これらの事故を一件も警察に届けていませんでした。森ビルは、十二月七日の女児が救急搬送された事故のあと、仮設の柵(さく)を設けましたが、この柵による誤作動があることから、安全装置のセンサーの感知領域を狭めていました。

 森ビルは事故の対策をメーカーと検討していたとしていますが、三和シヤッター工業は、「三和タジマが森ビルから連絡を受けた事故は、二十六日の(涼ちゃんの)事故を含めて三件」だとしています。

 けが人に治療費を支払ったことがあるのかについて、森ビル広報室は「個別のケースにあたるので答えられない」としました。

森ビルの回転扉事故

【六本木ヒルズ】(2003―2004年)

 日付、被害者、状況など

 4・26 男性 扉に衝突 左まゆ毛など裂傷 救護室

 4・27 男性 扉に衝突 左目上から出血 救急車

 5・4 子ども 腕を挟まれる 打撲 救急車

 5・14 女性 ガラスに接触 頭部など裂傷 救急車

 5・24 女性 左足を挟まれる 足の指に腫れ 救急車

 5・25 男児 右腕を挟まれる 腕に切り傷 救護室

 6・5 女性 足の指を挟まれる つめがはがれる 救護室

 6・9 男児(8歳) 首を挟まれる 首に痛み 救急搬送

 6・21 女性 腕を挟まれる 腫れ 救護室

 6・22 男児 足を挟まれる 外傷なし 救護室

 7・5 女性 右手を挟まれる 打撲など 救護室

 7・5 女性 足を挟まれる 足の指にすり傷 救護室

 7・19 女児 足の指を挟まれる 切り傷 救護室

 7・19 女児 足の指を挟まれる 切り傷 救護室

 7・25 女性 腕を挟まれる 出血、腫れ、すり傷 救護室

 8・1 女児 右手を挟まれる すり傷、腫れ 救護室

 8・13 男性 右手を挟まれる 切り傷 救護室

 8・25 男児 腕を挟まれる 腫れや内出血 救護室

 9・15 女性 足の指を挟まれる すり傷、腫れ 救護室

 9・30 男性 衝突 顔にすり傷や腫れ 救護室

 11・25 女児(2歳) 足を挟まれる 痛み 救急搬送

 12・7 女児(6歳) 体を挟まれる 耳の後ろ裂傷・出血、打撲 救急搬送

 12・13 女児 右足を挟まれる 腫れ 救護室

 12・13 女性 右手を挟まれる すり傷、腫れ 救急車

 12・21 女児 左足を挟まれる 腫れ 救護室

 12・24 女性 衝突 軽傷 救護室

 12・27 女性 衝突 右ひざをひねる 救急車

 12・29 女児 左足を挟まれる 腫れ 救護室

 1・9 女性 扉前で転倒 後頭部打撲・出血 救急車

 2・1 女児 左足を挟まれる 打撲 救護室

 2・15 男児 頭を挟まれる こぶ 救護室

 3・24 女児 右手首を挟まれる すり傷、内出血 救護室

 3・26 男児(6歳) 頭を挟まれる 死亡

【愛宕MORIタワー】

 01・12・27 男性 衝突 鼻に軽傷、メガネ破損

 03・5・30 女性 足のつま先を挟まれる 外傷なし

 04・3・20 男児 首を挟まれる すり傷(出血) 救急車

【アーク森ビル(港区)】

 02・3・28 男児 足を挟まれる つめがはがれる 病院で治療

 02・7・11 女性 頭を挟まれる 痛み なし

 02・11・28 男性 手を挟まれる 擦り傷 救急ばんそうこう

 02・12・2 女性 手首を挟まれる 打撲 湿布


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp