日本共産党

2004年2月7日(土)「しんぶん赤旗」

航空機乗務員 放射線あび続ける現場

勧告から14年 政府は放置

乗員ら 法的な被ばく対策要請


 宇宙からの有害放射線で長距離路線の航空機の乗務員が被ばくしている問題をめぐって、民間機のパイロットらで組織する日本乗員組合連絡会議(林田幹男議長)と客室乗務員連絡会(野中恵子事務局長)は六日、放射線障害を防止する対策を国際機関の勧告を取り入れて実施するよう、河村建夫文部科学相に求めた要請書を提出しました。

 要請書は、宇宙線が増加する時期に「高緯度地域を長時間飛行した場合、一回のフライトで一般公衆の年間被ばく限度を超えてしまう」と指摘。一般公衆の年間被ばく限度を上回るだけでなく、日本の電離放射線障害防止規則で定めた妊婦の被ばく限度や、ドイツの乗務員の妊娠期間中の被ばく限度も上回る可能性もあるとして、乗務員への適切な教育や、被ばく量の測定・記録、特別な健康管理などの実施や被ばくを少なくする業務の「適切な管理」を、法的に航空会社に義務付けることなどを求めています。

 高高度を飛ぶ航空機では、地上と比べ宇宙からの放射線を受けやすいことが知られ、国際放射線防護委員会は一九九〇年に航空機乗務員の宇宙線被ばくを職業上の被ばくと位置付けて、対策をとることを各国に勧告しました。ドイツなどではすでに原発労働者と同様に被ばく量の管理などを行っています。しかし、日本は、その実施が先送りされてきました。

 要請書は「九〇年勧告から十四年がたった今も、航空機乗務員の宇宙線に関する規制は、国の放射線審議会がその必要性を認めながらも、実現されないまま放置されつづけている」と国の怠慢を批判し、早急に適切な措置をとることを求めています。


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