日本共産党

2004年2月5日(木)「しんぶん赤旗」

イラク論戦ハイライト

のらりくらり答弁に八田議員たたみかけ

石破長官 認めた


 イラク先遣隊に都合のいい情報集めを指示し、悪い情報は国民に知らせないのは大問題。航空自衛隊は、米軍が掃討作戦をする区域で、物資のピストン輸送をするのではないのか――。日本共産党の八田ひろ子参院議員の度重なる追及に、石破茂防衛庁長官も言い逃れできませんでした。四日の参院予算委員会での八田氏の追及のハイライトを紹介します。

「その時刻に送信した」

報告原案

写真
パネルを示して追及する八田ひろ子議員=4日、参院予算委

 衆院での論戦で、日本共産党の赤嶺政賢議員が明らかにした陸自先遣隊「報告書」の“原案”ともいうべき政府内部文書。八田氏は、この文書を取り上げました。

午後0時20分

 「最新のイラク情勢と陸自派遣の調整状況等について(案)」と題したこの文書には、一月二十日午後零時二十分に防衛庁運用局運用課から外務省安全保障政策課にファクス送信された記録が残っています。これはイラク時間では同日午前六時二十分にあたります。

 八田氏は、陸自先遣隊が現地サマワで活動を開始したのが「二十日朝」であることを石破茂防衛庁長官に確認したうえで、追及しました。

 八田 防衛庁がこういう文書をつくって外務省とやりとりしていた。先遣隊がサマワ入りしたときには、(報告書)原案が完成していたことになる。

 石破 どこで入手したのか知らないが、この文書は確認できない。

 八田 ファクスの通信記録を調べればすぐにわかるではないか。

 石破 一月二十日のこの時刻に防衛庁運用局運用課から外務省安全保障政策課に送信した記録は残っている。

 石破長官は、文書の真贋(しんがん)は確認できないと繰り返しながら、文書に残された時刻に防衛庁から外務省にファクスが送られていたことを認めました。

襲撃発生件数

 文書には「連合軍(通過中の米軍等車列、パトロール中のオランダ軍)に対する襲撃等の発生件数は6件」として「公表不可」と記載されています。一方、国会に提出された先遣隊「報告書」には数字がありません。

 八田 この数字は公表できないのか。

 石破 一般論として、他国から入手した情報は、その国でも公表されていないものについては、公表できない。

 同文書がまさに「公表不可」としていたとおりに「報告書」には数字を明記しなかったことが裏付けられました。

 八田氏は「米国は国防総省のホームページでも、連合軍第七統合任務軍でも報告している」と指摘。「派兵に都合のいい情報集めを指示し、都合の悪い情報は国民にも国会にも知らせないで派兵を決定するのは問題ではないか」と迫りました。

 小泉純一郎首相は「総合的判断で決定した」と答弁にならない答弁。八田氏は「結局『派兵先にありき』だったから、決定の前提としたサマワの治安にかかわる首相答弁を撤回せざるをえないようなことになったのではないか」と批判しました。

作戦区域「排除しない」

空自輸送

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 「見送る家族の硬い表情、涙をながす姿に胸がつぶれる思いがしました。なぜ涙になるのか。結局、イラクはだれがみても戦争状態のところだからです」―。八田氏は、地元・愛知県の航空自衛隊小牧基地からC130輸送機が出発したときの思いを語りながら、空自の輸送活動が、占領への明白な加担になる危険性を浮き彫りにしました。

米軍のニーズ

 八田 ようするに米軍のニーズがあれば、米軍や連合軍の物資や兵員をC130が輸送することでいいのか。

 石破 可能性としてはある。

 八田氏は、空自が何を輸送するのかについて、ただしました。

 「人道支援物資が中心」などと繰り返す石破茂防衛庁長官。八田氏が「米軍の物資や武装兵士も運ぶのか」と迫ると、「排除されるものではない」としぶしぶ認めました。

 「だれに頼まれて運ぶのか」とたたみかける八田氏。石破長官は「調整の結果だ」と、輸送を要請してくる相手について、あいまいな答弁を続けます。

 八田氏の度重なる追及で、石破長官は、米軍のニーズに応え、占領軍の武装兵員や物資を運ぶことになることを認めざるをえませんでした。

ピストン輸送

 八田氏は、米国防総省が昨年七月に作成した米軍の「砂漠のサソリ」掃討作戦の作戦区域をパネル(図)で示しました。作戦区域の中には、空自が空輸支援をおこなうバスラ、バグダッド、バラド、モスルの各空港のすべてが入っています。

 八田 こういう地域に、アメリカのニーズがあれば、米軍物資とか兵隊さんを運ぶんですね。

 石破 ニーズがあっても、応える能力がなければ応えようがない。

 八田 可能性はあるんですね。

 石破 まったく排除するものではない。

 八田氏が「掃討作戦をする区域で、物資などをピストン輸送すると理解していいのか」とただしたのに対し、石破長官はまたも「あくまで人道支援だ」とはぐらかす答弁を繰り返しました。

 しかし、八田氏の度重なる追及に結局、石破長官は掃討作戦上のニーズがあれば、米軍物資、武装兵員の輸送がありうることを認めました。

 八田氏は、政府のいう「人道復興支援」と実際の支援内容がかけ離れていることを指摘し、こうした活動をする自衛隊が米軍といっしょとみられ、標的になる危険があることをただしました。

 小泉首相は「米軍はテロ掃討作戦を行っている。日本は参加しない」などと弁解。八田氏は「掃討作戦にいく米軍も、武装したまま運ぶといったではないか。占領の一翼を担う活動であり、憲法九条に真っ向から反するものだ」と批判しました。


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