日本共産党

2004年1月13日(火)「しんぶん赤旗」

東京都の「新大学構想」

早急な見直し求める

教員110人の声明(大要)


 東京都立大学の理学研究科、工学研究科と東京都立科学技術大学工学研究科教員百十人は、昨年十二月二十六日、東京都がすすめる「新大学構想」について声明を発表しましたが、大要を紹介します。


 東京都立大学は50年を超える歴史と伝統を培っており,教育と研究の両面で、公立大学として多くの社会的責務を果たしてきた。また、都立科学技術大学をはじめ他の都立の大学も首都の教育と研究を支える貴重な貢献をしてきた。しかしながら、2年前、東京都は専らその財政的な理由に基づき都立の4大学の統合・改革を提起した。これに対して、4大学は多くの問題を抱えながらも当時の管理本部と共同して、新たな枠組みによる大学の設置の作業に取り組んできた。特に、教育を受ける現在と未来の学生達に不利益が生じないことを常に念頭に置き、教育・研究に携わる機関としての社会的責務を今まで以上に間断なく果たすことを目標として、平成17年度の新たな枠組みによる大学の発足に向けて長時間にわたる検討を進めてきた。ところが、本年8月1日に現大学管理本部が唐突に提出してきた「新大学構想案」は、これまでの検討結果を一方的に破棄したものであった。以来、大学の「現場の声」を無視して進められる「新大学構想」に対し、10月7日の都立大学総長声明(「新大学設立準備体制の速やかな再構築を求める」)をはじめ、教職員、学生、大学院生などからの多くの声明や抗議が出されてきているにもかかわらず、大学管理本部は全くこれらを無視し、その後も河合塾への作業の外注や教員の任期制度や年俸制の一方的公表など、大学運営の基本に関わる事項を大学との協議の姿勢を示すことなく押し進めている。

 大学の改革は時の行政が一方的に進めるべきではなく、大学を運営する大学の執行部、あるいは、法人化後であればその責任を専らに担うものが中心となり、行政と手を携えて進めるべきものである。この基本すら守られない状況において、これ以上管理本部がいうところの「大学改革」を認めることは、現大学で学ぶ学生・大学院生のみならず、大学の新たな出発を期待する高校生、受験生をはじめとする東京都民、国民に対する責務を大学自身が放棄することになりかねない。したがって、現在都立の大学で教育・研究に従事し、大学の運営に一半の責任を持つ大学人として、これを黙って見過ごすことは出来ない。

 私たちは、10月7日の都立大学総長声明で指摘されている内容を支持するとともに、現在進められている一方的で独断的な「新大学設立」準備を直ちに見直し、開かれた準備組織のもとでしっかりとした改革の方向を検討し、新しい大学を作っていくための取り組みを進めることを強く求める。


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