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2022年6月24日(金)

消費税減税「できない理由」総崩れ

 物価対策としても最も有効な消費税の減税を拒む政府・与党の理由が総崩れになっています。参院選は、消費税減税を実現させるために日本共産党への1票で国民の意思を示す大きなチャンスです。

「社会保障財源」は偽り

実は法人税減税の穴埋め

グラフ
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 自民党や公明党は消費税減税を求める国民多数の声に対し「消費税は社会保障財源になっている」などといって拒否しています。

 19日放送のNHK「日曜討論」では自民党の高市早苗政調会長が「消費税の使途というのは、年金・医療・介護・子育て、こういった社会保障に限定されている」「法人税の引き下げに流用されているかのようなデタラメを公共の電波でいうのはやめていただきたい」などと発言しました。

 税財政の実態からみればこの発言こそデタラメです。たしかに消費税法第1条には消費税収について「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」とあります。しかし、この規定は消費税が導入されたときにはありませんでした。消費税導入から20年以上たった2012年、消費税率を5%から10%に段階的に引き上げる法律を決めたときに増税の言い訳として持ち込まれたものです。

 日本共産党の志位和夫委員長が参院選公示日の第一声で指摘したように、消費税導入から33年、社会保障は切り下げに次ぐ切り下げでした。消費税の税収は「大企業と富裕層の減税の穴埋めに消えてしまった」(志位氏)のです。

 実際、1989年の消費税創設以来の34年間で国と地方を合わせた消費税総額は476兆円にのぼりますが、国と地方を合わせた法人税は324兆円、所得税・住民税も289兆円の税収が減っています。消費税収が法人税や所得税・住民税の穴埋めに使われたのは明白です。

 直近でも消費税率が8%に引き上げられた14年に復興特別法人税が廃止され、法人税率(国税)は28%から25・5%に引き下げられました。これを皮切りに段階的に法人税率は引き下げられ、現在は23・2%まで下がっています。

 そもそも、消費税は収入の少ない世帯ほど負担が重くなります。この消費税を、弱者ほど手厚くしなければならない社会保障の財源に充てることはふさわしくありません。社会保障の財源は大もうけしている大企業や富裕層に求めるべきです。

「変更大変」成り立たず

安倍政権は2回引き上げ

 日本共産党は、消費税導入に反対し、導入が強行されてから一貫して廃止・減税を求めてきました。

 消費税は所得の低い人ほど負担率が重く、お金持ちほど軽くなる逆進性がある最悪の不公平税制です。共産党は、消費税の逆進性を批判し、消費税収が大企業の行き過ぎた減税の穴埋めに使われてきたことを指摘。財源は能力に応じて負担されるべきだという「応能負担」の原則を求めて、この間の国政選挙でも「消費税減税・将来の廃止」を一貫して掲げてきました。

 社会保障制度を通じて所得の再分配を行うというのが近代国家の役割であり、その財源は「応能負担」が原則です。それに反する消費税は、増税されるたびに消費を抑制し、貧困を広げ、日本経済を冷え込ませてきました。

 このことは、内閣府の「ミニ経済白書」も「(消費税は)将来にわたって個人消費を抑制する効果を持つ」と認めています。

 ただ、消費税の減税・廃止を本気でやろうとしたら、財界や大企業の抵抗にぶつかります。企業・団体献金を一切受け取ってこなかった日本共産党を伸ばすことが、岸田政権に消費税減税を迫る一番の力になります。

「消費抑制」政府白書も

応能負担こそ近代の原則

 自民党は、消費税減税は“システム変更が大変だ”などと主張していますが、この点も論戦は決着済みです。だいたい安倍政権で2回も税率を引き上げたのですから、今さら下げることができないという道理はありません。現場が大変だというなら、政府が来年10月から導入するインボイス制度こそ、消費者や事業者に混乱を招いています。

 政府は、インボイス制度を導入する目的について、複数税率のもとで個々の商品・取引における消費税額を正確に把握するためとしています。ならば、消費税率を一律5%に戻せば、複数税率はなくなり、インボイス制度も必要なくなります。

 茂木敏充幹事長は、消費税の減税までには準備期間が必要で「最低でも半年以上、1年近くかかる」(23日)と述べました。

 しかし、初めて消費税が導入されたとき、準備期間は実質3カ月程度でした。竹下内閣は1988年12月24日に、消費税を導入する法案を徹夜国会の末に強行採決。消費税がスタートしたのは翌年の4月1日です。

 日本共産党などの野党は、参院選で消費税減税を公約に掲げています。あとは政府与党のやる気次第です。

 世界では、すでに91の国と地域が消費税(付加価値税)の減税を実施・予定しています。日本だけできない理由はありません。それでも岸田首相が決断できないのであれば、選挙で審判を下すしかありません。

「付加価値税」の減税を実施・予定している91の国と地域

23日現在(大門実紀史室調べ)

・アイルランド
・アゼルバイジャン
・アルバニア
・英国
・イタリア
・インドネシア
・ウガンダ
・ウクライナ
・ウズベキスタン
・ウルグアイ
・エストニア
・オーストリア
・オランダ
・カボベルデ
・カザフスタン
・北マケドニア
・キプロス
・ギリシャ
・クロアチア
・ケニア
・コスタリカ
・コロンビア
・ザンビア
・ジャマイカ
・スペイン
・スロバキア
・スロベニア
・韓国
・チェコ
・中国
・チュニジア
・ドイツ
・トルコ
・ニジェール
・ノルウェー
・パラグアイ
・ハンガリー
・フィジー
・フィリピン
・フィンランド
・フランス
・ブルガリア
・ブルキナファソ
・ベルギー
・ポーランド
・ポルトガル
・マリ
・マルタ
・マレーシア
・メキシコ
・モルドバ
・モンテネグロ
・リトアニア
・ルクセンブルク
・ロシア
・マン島(英国)
・モナコ
・オマーン
・パキスタン
・アルジェリア
・アゾレス自治地域(ポルトガル)
・モーリシャス
・エクアドル
・ラトビア
・ルーマニア
・グレナダ
・バルバドス
・ベトナム
・バハマ
・ラオス
・カンボジア
・タジキスタン
・コソボ
・ボリビア
・アンゴラ
・台湾
・コンゴ(旧ザイール)
・ブラジル
・バングラデシュ
・エルサルバドル
・マラウィ
・インド
・ボスニア・ヘルツェゴビナ
・ペルー
・タイ
・オーストラリア
・ベネズエラ
・パナマ
・ガイアナ
・タンザニア
・サウジアラビア


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