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2021年9月18日(土)

旧統一協会系集会にメッセージ

安倍前首相「総裁に敬意」

宣伝利用で霊感商法被害拡大の恐れ

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(写真)旧統一協会系月刊誌『世界思想』には、安倍前首相の写真が何度も表紙に使われています

 霊感商法や集団結婚などの被害が長く社会問題になっている旧統一協会(世界平和統一家庭連合に改称)に関連する団体が開いた大規模集会に安倍晋三前首相がビデオメッセージを贈り、「敬意を表します」などと演説していたことが17日までに分かりました。旧統一協会が勧誘活動や宣伝に利用することで新たな被害につながるおそれがあり、安倍氏の道義的責任が問われます。

トランプ氏の後

 安倍氏がビデオメッセージで演説したのは、旧統一協会系の天宙平和連合(UPF)が韓国の会場とオンラインで12日に開いた集会「シンクタンク2022 希望前進大会」です。UPFは統一協会の開祖である文鮮明(故人)と、その妻で現家庭連合総裁の韓鶴子が2005年にニューヨークで創設したNGOです。

 同集会では、トランプ前米国大統領に続いて左胸に議員バッジをつけた安倍氏が会場の大型スクリーンに映し出され、約5分間の演説をしました。

 安倍氏は「演説の機会をいただいたことを光栄に思います」と述べ、次のような発言をしました。

 「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」。実質的なトップの名をあげ、旧統一協会を称賛した形です。

 旧統一協会と一体の右翼団体「勝共連合」は、ジェンダー平等を「社会における男女のあり方、そして家庭のあり方を根本から変えてしまおうという危険な思想」としています。

 安倍氏の演説の中で目立ったのは、旧統一協会の思想にある家族観への共鳴です。

 安倍氏は「UPFの平和ビジョンにおいて、家庭の価値を強調する点を高く評価いたします」と褒め上げ、その上で「偏った価値観を社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう」と呼びかけました。

 ジェンダー平等などを「偏った価値観」とみなし、個人を尊重する社会を目指す運動を非難するのは異様と言えますが、同集会の司会者は「たいへん感動的な演説」と評価しました。

 本紙の取材にUPFジャパン(東京都新宿区)は、米国のUPFインターナショナルと「ワシントン・タイムズ」(旧統一協会系メディア)が安倍氏側にビデオメッセージを依頼したと説明しました。

「伝道」の違法性

 旧統一協会による高額な献金の強要や正体を隠して行う「伝道」は、裁判でも違法性が指摘されています。

 旧統一協会による違法伝道や霊感商法被害の救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会は、全ての国会議員に対し、旧統一協会やその正体を隠した各種イベントに参加・賛同しないことを求めています。安倍氏が関連団体の集会にビデオメッセージを贈る形で協力したことは、不適切だと言えます。

 本紙は安倍氏の国会事務所にUPFとの関係などを質問しましたが、「この件に関してはUPFの事務局に問い合わせてください」として回答しませんでした。


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