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2021年9月14日(火)

主張

最低の食料自給率

国内の農業基盤の強化を急げ

 農林水産省は先月、2020年度の食料自給率がカロリーベースで37・17%に低下したと公表しました。20年度の米の収穫は平年並みでした。それにもかかわらず、未曽有の米の凶作に見舞われた1993年度を下回り、過去最低を更新しました。世界でも異常に低い自給率の低下に歯止めがかからないことは、日本国民の生存する基盤を脅かす深刻な事態です。

持続的な発展のためにも

 コロナ危機で食料の輸出規制に踏み切る国が相次いでおり、外国頼みの危うさが改めて浮き彫りになっています。命の源である食料・農産物は緊急時だからといって、すぐ増産できません。国内生産を拡大し、自給率を高める平素からの努力が不可欠です。それを国政の柱に据えて取り組むことは待ったなしの課題です。

 自給率の向上は世界の食料問題解決や地球環境保全の面からも迫られています。食料の海外依存は長距離輸送による大量の化石燃料の消費を伴い、温室効果ガス排出削減に逆行します。農産物輸出国では、水資源を浪費し、単一作物の大規模生産で生物多様性を脅かしています。土壌の劣化や森林破壊も引き起こしています。自給率アップは地球と人類社会の持続的な発展のために必要であり、国際社会への責務でもあります。

 食料・農業・農村基本法では、食料の安定供給は「国内農業生産の増大」を基本として自給率向上の目標を定めると明記しました。歴代政府は10年後に45%へ引き上げる計画を5年ごとに決めてきましたが、目標と現実は乖離(かいり)するばかりです。安倍晋三前政権も昨年3月、45%に引き上げる目標を決定しましたが、初年度からそれに逆行する結果となりました。

 政府は低下の理由について、米需要が減ったこと、19年の小麦生産が過去最高だったことの反動で減少したことなどを挙げました。

 しかし自給率が下げ止まらないのは構造的な要因です。米の消費減とともに、農地や担い手などの生産基盤が弱体化していることが大きな問題です。農業生産を中心的に担う基幹的農業従事者は20年間で104万人(43%)少なくなり、減少スピードは加速しています。農地の縮小と荒廃も進んでいます。国民の食料をだれが生産するのか、厳しく問われています。

 歴代自民党政府は、食料は安ければ外国産でいいとして際限ない輸入自由化を強行してきました。国内では、大規模化・効率化一辺倒で大多数の中小農家を切り捨てました。菅義偉政権は自給率向上や生産基盤強化を掲げていますが、実際の農政は全く逆で、むしろあからさまな農業つぶしです。

米価暴落の無策許されぬ

 菅・自公政権は、農村を襲っている米価暴落に何の対策もとらず、消費量の1割におよぶ米輸入を続け、国内産には過去最大の減反拡大を押し付けています。こんな暴政が続けば、自給してきた米まで外国に明け渡し、食料自給の基盤を失う国になるのは必至です。

 自公政権には国民の食料や国内農業を守る意思も能力もないことが浮き彫りになっています。

 目前に迫った総選挙で、農業を基幹産業に位置づける日本共産党の躍進とともに、市民と野党の共闘の力で新しい政権を打ち立てることが、食料自給率の回復・向上への最も確かな道です。


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