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2021年9月12日(日)

きょうの潮流

 ニューヨークのグラウンド・ゼロを訪ねたことがあります。2機が突っこみ破壊された世界貿易センタービルの跡地です。追悼の場所に刻まれた犠牲者の名前の上に、いくつもの星条旗がたてられていました▼隣接する「9・11メモリアルミュージアム」には大勢が並び、悲惨な現場をよみがえらせる生々しい展示物を食い入るように見ていました。「アメリカは屈しない」。家族連れの父親が何度も子どもに言い聞かせていた姿が印象的でした▼3千人もの命を奪い、世界を震かんさせた同時多発テロから20年。米国が始めた報復戦争はアフガニスタン撤退の大混乱にみられるよう破たんに追い込まれました。バイデン大統領自身「他国をつくりかえるために大規模な軍事作戦を実施する時代は終わった」と▼多くの国をまき込みながら対テロ戦争は拡大し、死者は100万人にのぼるとも。憎しみと暴力の連鎖は新たなテロを生み出してきました▼無人機の空爆をはじめ、異なる国の人びとの命や人権を一顧だにしないやり方に反米感情は高まる一方です。以前よりも安全になったという米国民は減りつづけ、何のための戦争かと苦悩する米兵も増えています▼20年の節目にバイデン大統領は改めて国民に「結束」をよびかけました。しかしテロの温床となる貧困や差別は、いまだ世界を覆っています。自国の団結だけでなく、生存を脅かすほどの格差を正すために国をこえてとりくむ。それがテロとのたたかいを終わらせることにつながります。


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