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2021年9月4日(土)

「政治を変える」 本気の共闘を今こそ

政治部長 中祖寅一

 安倍前政権に続き二代続けてのコロナ失政での政権投げ出し―。安倍・菅政治を支えてきた自公両党の政権失格を示す事態です。

 菅義偉首相は1年前、安倍晋三前首相の政権投げ出しを受け、「安倍政治の継承」と「自助・共助・公助」を掲げて自民党新総裁に就任し、首相に指名されました。新自由主義の「反省」ではなく「推進」を打ち出し、改憲に取り組む姿勢を明確にしました。党内の主要7派閥のうち5派閥が「菅支持」に雪崩を打ち、菅氏は臨時総裁選で圧勝しました。

 行き詰まった安倍政治の「継承」は、発足時から「二重の行き詰まり」を示していました。菅首相の政権投げ出しは、まさに9年間にわたる安倍・菅自公政治の大破綻の証明です。

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 自公両党は首相を交代させ総選挙に臨むことで政権延命を狙いますが、誰が新首相になろうとも、安倍・菅政治を支えてきた共同責任はまぬかれません。

 「自助」を押し付ける新自由主義への固執は、新型コロナ危機に対する政府対応の最大の障害となりました。医療・保健所体制の強化やPCR検査の拡大に背を向けたばかりか、病床削減を進め、高齢者の医療費・窓口負担を2倍化する法案すら強行しました。社会経済活動の自粛に対する補償をしぶり、困窮する個人や業者への給付金も1回きりなど冷酷な対応に終始したのは、まさに新自由主義に縛られた結果です。それは専門家の科学的見識の無視にもつながりました。オリンピックの開催強行は感染爆発と医療崩壊をもたらし、政権基盤を自ら掘り崩す結果となりました。

 安倍政権は、憲法9条破壊に最大のエネルギーを注ぎ、2014年に「集団的自衛権は行使できない」との政府解釈を変更。翌年、空前の国民的たたかいが巻き起こるなか、海外で米国の戦争に無制限の参加を可能とする違憲の安保法制を強行しました。菅首相は、今年4月の日米首脳会談で「台湾海峡の平和と安定」に積極的にコミットする方針を確認。安保法制の発動の可能性を否定しません。コロナ危機のなか、「安保法制は違憲」の批判に対し、安倍首相から明文改憲の企ても受け継ぎ、進めてきました。

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 立憲主義破壊の安倍・菅政治は、底知れぬ政治の私物化と強権政治を深め、菅政権は学術会議人事にまで介入。首相が任命拒否した6人は、安保法制に反対した人物でもあり、学問の自由と平和の危機として広範な人々がたたかいに立ち上がりました。しかし、依然として、任命拒否は続いています。

 9年におよぶ無法な安倍・菅政治は、その対極にこれと対決する市民と野党の共闘を生み出し、発展させてきました。4月の3国政補選・やり直し選挙、7月の東京都議選、8月の横浜市長選―市民と野党の共闘は自公連合を破り、菅政権を追い詰めてきました。

 いま安倍・菅政権は倒れたものの、「新首相」による自公政権の延命を許せば、安倍・菅政治が続くことになります。総選挙で自公勢力を打ち破ることなしに、破綻した自公政治を終わらせることはできません。

 「政治を変える」明確な旗印と政策を示し、協力して新しい政権をつくる―今こそ市民と野党が、本気の共闘を進める意思を示すことが政治の最大の焦点となっています。


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