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2021年8月21日(土)

夫入院、容体悪い妻が世話の乳児陽性

自宅療養むり

命守る手だて尽くせ

 新型コロナウイルスの感染急拡大で、本来宿泊療養施設や医療機関で療養すべきなのに受け入れ先が見つからず、自宅待機を強いられる人が全国で急増しています。特に子どもを抱える家族が感染した場合は深刻です。医療が受けられる施設でのケアなど早急な体制整備が求められています。(小林圭子)


 東京都の日本共産党・小林れい子文京区議のもとに12日、コロナ陽性で入院した40代男性から相談の連絡がありました。「持病を抱える妻(40代)が感染し、容体が悪化している中で、入院先が見つからない」という訴えでした。

 一家は子ども2人の4人家族。最初に小学生の子どもの感染が分かり、妻と生まれたばかりの乳児は妻の実家に移動しました。夫も上の子を看病するうちに発熱し、陽性と判明しました。

 夫の症状は悪化し、血中酸素飽和度が90を下回ったため救急車を呼びました。しかし90件以上の病院に断られ、自宅で酸素吸入を受けることに。翌日やっと入院先が見つかり、上の子は近所の親族に預けました。

 実家にいた妻も陽性が判明。実家の祖父が抗がん剤治療をしているため、母子はやむなく自宅に戻りました。妻の症状が悪化し、陰性の乳児の預け先だけでも探さなければと、保健所や児童相談所、主治医に相談します。しかし受け入れ先が見つからず、自宅で世話することになりました。

 妻は、高熱やせき、腹痛などでつらい状況の中、微熱でぐずる乳児のケアをしていました。数日後、乳児の状態が悪化し、祖母に頼んで検査を受け、陽性と分かりました。保健所が母子の入院先を探していますが、軽症扱いのため見つかっていません。

 小林区議は「当事者の不安と、保健所などの対応に大きな差を感じます。誰が重症化するか分からない状況で、自宅療養は無理があります」と危機感を募らせています。

 国は、子育て中の人が感染し、子どもの預け先がない場合の対応について、「感染防止対策を徹底した上で自宅療養を行う」「児童相談所等とも連携して対応」と自治体に通知しています。感染の爆発で調整が追いつかず、親子で医療ケアが受けられずに孤立しかねない状況になっています。

 国立成育医療研究センターは感染した子どもを自宅で看病する際の注意点(表)をホームページで公開しています。

■子どもの自宅療養での注意点

●息苦しそうにしたり嘔吐(おうと)を繰り返したりしたら早めに相談する

●2歳未満はマスクを着用させない(息が詰まるなどの危険がある)

●おむつを捨てる際はビニール袋で2重に密閉する

 使用済みマスクや鼻をかんだティッシュなども同様

●体を拭く、排せつ物の処理をする場合はマスクや使い捨てエプロン、手袋を着用する

●歯磨き粉やバスタオルの共有を避ける

※国立成育医療研究センターのホームページから


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 医師の谷川智行さん(日本共産党衆院東京比例・東京4区予定候補)の話 子どものいる人が感染した場合も、保護・隔離し医療の管理下に置くことが基本です。小さい子どもの場合は、子どもが陰性でも必要な感染対策をとった上で親子一緒に入院、入所させることが望ましいです。

 陽性になった赤ちゃんには通常のパルスオキシメーターが使えない上に子ども用のものでも正確な測定が難しく、呼吸の変化を察知するのは一般の人には無理があります。専門家の目が不可欠です。

 菅義偉首相は受け入れ要請を拒んだ病院名の公表など強権的なやり方での病床確保について言及しました。強権では病床を増やせません。現場の声に耳を傾け、必要な支援を丁寧に届けることです。「原則自宅療養」の方針を撤回し、入院病床や宿泊療養施設、医療スタッフの早急な確保など、命を守るためにあらゆる手だてを尽くすべきです。


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