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2021年8月19日(木)

主張

「宣言」13都府県に

危機広げた大失政を猛省せよ

 菅義偉政権が東京などに出していた緊急事態宣言を9月12日まで延長し、対象も今月20日から13都府県に拡大することを決定しました。7月初めに東京に発令された4度目の緊急事態宣言の延長と拡大は2回目です。コロナの爆発的感染が止まらず、宣言が繰り返されているのは菅政権の大失政の結果に他なりません。とりわけデルタ株まん延の危険が指摘されたさなかに、感染抑止に逆行する東京五輪を強行したことは、致命的でした。重大事態を招いたことを猛省し、姿勢を根本から改めなければ、感染抑止に向けた国民の協力を得ることはできません。

政府の行動変容は見えず

 1日の新規感染者数は2万人を超え、重症者数も過去最高を更新し、自宅療養者も激増しています。医療現場などから「災害級」と悲鳴が上がります。危機的状況の打開は一刻の猶予もありません。しかし、宣言拡大を発表した17日の首相会見からは深刻な危機感が伝わってきませんでした。

 首相は「人流の5割削減」のために、デパートなど混雑した場所への人数制限、旅行や帰省の自粛など行動の変容を呼びかけました。ところが、政府に本気で従来の行動を変えようとする姿勢は見えません。国民からの中止を求める声に逆らって東京五輪を開催したことが、国民への「誤ったメッセージ」となり、感染拡大を加速させたことは疑う余地がないのに、そのことへの反省は一切ありません。

 24日から9月5日までのパラリンピック大会を実施する構えです。これは「誤ったメッセージ」を続けることです。しかも、無観客にする一方で、子どもたちを動員する「学校連携観戦」は行う方針です。子どもを感染の危険にさらすことは許されません。パラリンピックはきっぱり中止し、感染対策に全ての力を注ぐ時です。

 首相は「医療体制の確保」も強調しました。最初に挙げたのは、自宅療養者への酸素投与などの体制整備です。批判を浴びた「自宅療養を基本」とする方針にこだわっていることは明らかです。これでは不信は払しょくされません。同方針の正式な撤回が必要です。

 入院が必要な人のための病床確保なども表明しましたが、それが追い付いていない現実の原因分析や反省は語らず、実効性は不確かです。医療機能を強化した宿泊施設や臨時の医療施設を大規模に増やし、医療従事者を集め、早い段階から医療を開始することで重症化を防ぐことなどに、傾注しなければなりません。

 ワクチン接種についても早期完了を目指すとする一方、提供遅れの問題や、接種予約ができない人たちの疑念には答えませんでした。PCR検査を大幅に拡充する方針も示しません。

 緊急事態の長期化で苦境に立つ飲食店などへの支援強化もありません。持続化給付金の再支給など補償と一体でなければ感染対策は進みません。

臨時国会の召集が急務

 いまこそ国会を開くべきです。野党4党が憲法に基づき臨時国会召集を要求してから1カ月です。戦後かつてない感染症の危機が進行する中で、召集を拒む道理はありません。菅政権のコロナ対応の欠陥を国会でただし、国民の命を守る政治へ切り替えることが急務となっています。


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