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2021年8月5日(木)

きょうの潮流

 炎天下、市民農園で借りているわが家の畑は収穫真っ盛りです。夏野菜の王様といえばトマト。真っ赤に熟した大ぶりの実は、見ているだけで食欲をそそります。〈子が捥(も)いで太陽いっぱいになる蕃茄(トマト)〉細井啓司▼もう一つ、旬が始まったのはナス。ナスにムダ花なし、といわれるほど、次々咲いた薄紫の花が、みるみる濃紺のうりざね形に実っていきます。最近は店頭のナスが高いので家計にも優しい。〈初なすび水の中より跳ね上がる〉長谷川櫂▼素人の記者でもナスは一株から60個以上とれます。農家は一株で200個とるといいますから、その多産ぶりは驚異的。まさに千両ナスです。〈秋涼し手毎にむけや瓜茄子(うりなすび)〉と芭蕉『奥の細道』に詠まれたように、収穫は9月まで続くので、先が楽しみです▼夏の句といえば、こんな怖い句もあります。〈Kという男許さず夏燃ゆる〉。作者は俳優の冨士眞奈美さん。いったい何があったのか、想像を刺激されます。本紙日曜版では冨士さんの「俳句と遊ぶ」が始まりました。昨年の2度の連載が好評につき、3度目の登場です▼再開冒頭に冨士さんが選んだのは〈戦わず別れし夏の縁(えにし)かな〉。91歳、札幌の岡野哲さんの句です。少年兵の友人でしょうか。8月は戦争を振り返り、不戦の誓いを新たにする月でもあります▼うちの畑ではトウモロコシもいまが旬。とって1日で甘みが半減するので、採れたての味は格別です。ひと足早い秋の味覚です。〈啄木の詠みしもろこし焼きにけり〉加藤三七子(みなこ)


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