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2021年7月31日(土)

主張

第53回保育合研

子ども真ん中に新たな時代へ

 コロナ禍は、子どもを育てる環境を激変させています。育児の楽しみや悩みを対面で交流できる機会は減少し、保育園でも保護者同士のかかわりや、園と保護者との関係づくりに困難が伴うことがしばしばです。人と人との豊かなつながりは、より良い子育てや保育の大きな土台です。つながりが薄くなることに、孤独や不安を抱える父母は少なくありません。

今こそつながり学びあう

 31日~8月1日に開催される第53回全国保育団体合同研究集会(保育合研)は、保育者、父母、研究者など保育・子育てにかかわる人が経験、実践などを持ち寄り、学び合い、交流する場です。広島市内をメイン会場に、県外からはオンライン参加となります。8月10日から期間限定で録画配信を実施するなど工夫をこらした取り組みが準備されています。

 保育現場はコロナ禍の1年半、感染対策を第一にこれまでの保育を見直す努力をしてきました。夏祭り、運動会、食育、お泊まり保育などの行事や保育内容について、いままで積み重ねてきたことの到達の上にたって、再創造する実践が始まっています。

 保育とは何かを問い、「コロナだからできないではなく、コロナだけどできることを」との模索の連続です。子どもを真ん中に何ができるのか、その実現にどうしたらいいのか―職員同士で学び合い、試行錯誤し保護者の理解も得ながらの取り組みは今も続きます。

 問題は、こうした現場の努力を支える姿勢が政府にないことです。子どもとの密な接触を避けられない保育者へのワクチン接種は、強い要望です。しかし、政府は体制づくりを自治体に丸投げしているため、推進がはかられません。感染対策の恒常化で新たな業務が増えているにもかかわらず、それを補う体制の保障もありません。人手不足は深刻で職員の過酷な働き方に拍車がかかっています。

 コロナ禍の登園自粛などによって、少人数保育を経験した保育者は「気持ちにゆとりを持ちながら家庭的な雰囲気の中で丁寧に子どもたちにかかわる保育ができた。本来保育はこうあるべきだ」と実感しました。ところが、各地で公立保育園などの廃止・統廃合を進める動きが相次ぎ、200~300人を超える定員の大規模施設への移行を計画する自治体もあります。「一人ひとりに寄り添う保育ができるのか」などの懸念が相次いでいます。

 小学校では少人数学級を前進させる動きが本格化しています。保育所など就学前施設が昔の設置基準のままでいいはずがありません。統廃合による大規模化ではなく、国は保育士配置基準や面積基準を引き上げ、ゆとりある保育環境の実現に力を尽くすべきです。

コロナ後を問い直す時

 コロナ前に策定された事業計画に基づき、保育園の統廃合や民営化が進められていることは、問題です。災害発生時や感染症拡大時に、周辺の他園の子どもを受け入れるなどした公立園の果たした役割が注目されています。いったん計画をストップし、コロナ後の保育のあり方を問い直す時です。

 今年の保育合研が、新しい時代にふさわしい保育をめざして日々挑戦する人たちにとって、未来への展望をひらく重要な機会になることが期待されています。


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