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2021年7月29日(木)

主張

コロナ感染急拡大

五輪続け国民の命守れるのか

 新型コロナウイルスの新規感染者数が、東京都で初めて3千人を超えて過去最高を更新するなど異常なペースで急増しています。都は都内の医療機関に対し、通常医療を制限してコロナ病床の確保を求める通知を出しています。都内では医療崩壊が起こりつつあると言えます。こうした危機的な状況にもかかわらず、菅義偉首相は東京五輪中止の選択肢は「ない」と断言しました。国民の命と安全を守れなくなれば五輪はやらないと述べていた自らの国会での答弁にも反するものです。首相にはこの事態にどう対処するのか国民と国会に説明する責任があります。

医療体制は逼迫の危機

 都の通知(26日付)は、感染状況などを分析・評価する都モニタリング会議が「(新型コロナ)入院患者数は6月下旬から約1か月で倍増しており、今後、新規感染者数が急速に増加すれば、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)の危機に直面する」と指摘していることを紹介し、コロナ病床の確保を要請しました。

 そのために「通常医療の制限」を視野に入れた「病床の転用」を求め、具体例として▽救急医療の縮小・停止▽予定手術の延期▽一部診療科の停止▽診療機能の縮小―を挙げました。東京の医療がかつてない機能不全に陥りつつあることを示しています。

 東京では4回目となる緊急事態宣言が12日に始まってから2週間が過ぎ、本来であれば効果が出てくる時期とされているのに、なぜ感染が急拡大しているのか。感染力の強いデルタ株の広がりに加え、「政府への信頼がなく、どんなメッセージを出しても共感を得るのが難しくなっている」(厚生労働省幹部)との声が報じられています(27日のNHKニュース)。

 信頼も共感も得られないのは、菅政権が五輪を続けながら、国民には外出を控えるように呼び掛ける矛盾したメッセージを出しているからに他なりません。感染状況の悪化は、首都圏全体から全国に波及しつつあります。

 菅首相は、27日に東京でそれまでの最多となる2848人の新規感染者が出たことに関し「(五輪)中止の選択肢はないのか」と記者から問われ、「人流も減っているし、そこはない」と明言しました。

 しかし、政府の新型コロナ対策分科会の舘田一博東邦大学教授は「今の感染者数は2週間前に感染した人であり、人の流れが減っていないことを考えると感染者数はさらに増える可能性がある」(同前)と指摘します。首相は人流減少の理由として「車の制限」と「テレワーク」を挙げましたが、本当にそれで減っているのか。明確な根拠を示さないのは無責任です。

臨時国会を一刻も早く

 菅首相は6月9日の国会での党首討論で、日本共産党の志位和夫委員長の質問に対し「国民の命と安全を守るのは私の責務だ。守れなくなったら(五輪を)やらないのは当然」と述べています。今はまさに「国民の命と安全を守れなくなっている」事態ではないのか。そうであれば首相は国会での言明通り五輪中止を決断すべきです。

 共産、立民、国民、社民の野党は憲法に基づき、共同で臨時国会の開催を菅政権に求めています。一刻も早く国会を開き、コロナと五輪の問題を徹底的に審議し、首相も国民の不安や疑問に応えて説明する必要があります。


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