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2021年7月25日(日)

「黒い雨」訴訟 上告は許されない

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(写真)厚労省(右端)に要請する黒い雨訴訟原告団の高野正明団長(左から3人目)ら=16日、参院議員会館

 広島への原爆投下後、放射性物質を含む「黒い雨」によって健康被害を受けたとして、住民ら84人を被爆者と認めた広島高裁の判決を受け、広島県も市も上告断念を国に求める中、28日の上告期限を前に国は上告するよう働きかけています。田村憲久厚労相は「他のいろいろな事象に影響する」と述べていますが、救済を先延ばしすることは許されません。

 被爆76年、「被爆者だと認めてほしい」と訴訟を始めた88人のうち19人の原告が亡くなりました。「黒い雨」被害者は高齢化し、時間がありません。

 原告団長の高野正明さん(83)は、「核兵器禁止条約が発効したもとで、世界は核被害者に寄り添い、救済の方向に向かっているもとで、日本政府が被害者を被爆者と認めようとしない態度は許されない」と語っています。

 広島高裁判決は、地裁判決を補強し、原爆がもたらした被害を広く認定し、被爆者援護行政の見直しを国に迫った画期的な判決です。

 「原爆の放射能により健康被害が生ずることを否定できない」ことを立証すれば足りると指摘し、黒い雨に打たれていなくても、放射性微粒子を吸引したり、混入した井戸水を飲んだり、野菜を摂取して、内部被ばくによる健康被害を受ける可能性があると指摘し、全員に被爆者健康手帳を交付するよう求めました。

 「大雨地域」外の「黒い雨」被爆者を被爆者援護法施策の対象外としてきたこれまでの被爆者援護行政の根本的見直しを迫っています。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が「原爆被害を小さく見ることをやめ、原爆被害の実相に応える施策へ変えるべきだ」と求める通りです。

 1月22日に核兵器禁止条約が発効し、国際法となった禁止条約第6条には被爆者支援と環境回復が明記されています。国際社会は、核兵器の被害者に寄り添い、支援する方向に向かっています。

 唯一の戦争被爆国でありながら、原爆被害をわい小化しつづけることは国際的に見ても許されません。

 まもなく8月6日の原爆投下の日を迎えます。日本政府は、2度の司法判断で示された判決に従い、被害者を救済する手だてを速やかに取るべきです。


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