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2021年7月19日(月)

教員免許更新制度 破綻いよいよ鮮明

続けば「教育に穴」 年々深刻度合増す

 第1次安倍政権が導入し、学校現場にさまざまな弊害をもたらしてきた教員免許更新制度の破綻が、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の議論でも鮮明になっています。資質向上という導入の大義が崩れるとともに、制度を続ければ本来配置されるべき教員が配置されない「教育に穴があく」事態が年々深刻になることも明らかになっています。(佐久間亮)


 免許更新制度が始まったのは2009年度。10年ごとに大学などで30時間程度の更新講習を受けなければ免許が失効し、公立学校教員の場合は職まで失います。教員の多忙化に拍車をかけるとともに、教員不足の要因にもなっています。

半数が廃止要求

 免許更新制度の廃止を求める声が高まるなか、萩生田光一文科相は3月、前提なしで制度のあり方を検討するよう中教審に指示。中教審が立ち上げた小委員会は5月、「そもそも免許状に有効期限を設けて更新する仕組みが必要と言えるのか」との論点を示しました。

 7月5日の小委員会に文科省は、現職教員を対象とした免許更新制度に関するアンケート結果を提出。同制度に回答者の半数超が「廃止すべき・意義を感じない」と答える衝撃的な結果が明らかとなりました。

 更新講習が教育現場で役立っているか、講習が最新の知識・技能の修得に寄与しているかとの問いにも、ともに約4割が否定的な回答を寄せました。更新講習が教員に大きな負担を与えていることや、更新が早期退職のきっかけになり、教員不足に拍車をかけていることも裏付けられました。

 免許更新制度は、1955年4月1日以前に生まれた教員(現在66歳以上)については更新講習の受講を免除しています。出産や育児、病気などで休む教員の代わりの臨時的任用教員や非常勤講師の受け皿となってきた同世代が高齢化するもと、代替教員の確保に懸念が広がっています。

グラフ

教員不足に拍車

 5日の小委員会では、慶応義塾大学の佐久間亜紀研究室が提供した調査結果によって、免許更新制が今後の教員不足に深刻な影響を及ぼすことも浮き彫りになりました。

 同研究室は、ある県の教員未配置や臨時的任用教員、非常勤講師の月ごとの推移を分析。60歳以上の世代が非常勤講師の6割以上、臨時的任用教員の1割以上を担い、教育に穴をあけないために重要な役割を果たしている実態を明らかにしました。

 同時に、受講免除世代以下の60代の教員の免許が今年1月から順次失効時期を迎えだしたことを指摘し、「教員免許更新制度が現状のまま続く場合は、今後毎年、更新対象となる退職者の教員免許の多くが失効していき、非常勤講師の需要に対する主要な供給源が失われる可能性が高い」「公立小・中学校における教員未配置(教員不足)が深刻化していく可能性が高い」と結論付けています。


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