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2021年7月9日(金)

主張

4度目の緊急事態

五輪強行は絶対に許されない

 菅義偉政権はコロナ感染の再拡大が深刻化している東京都に12日から8月22日まで緊急事態宣言を発令することを決めました。しかし、東京五輪(7月23日~8月8日)を開く方針は変えようとしません。感染拡大抑止のために国民に厳しい行動制限を求めながら、感染拡大リスクを格段に高める大規模イベントを行うことは根本的に矛盾しています。「無観客」にしても、リスクを解消することはできません。事実上の「感染第5波」に突入している中で、五輪に突き進むことは、国民の命をないがしろにする暴挙です。五輪強行は絶対に許されません。

矛盾したメッセージ

 東京に緊急事態宣言が出されるのは4度目です。3度目だった宣言を6月20日で解除してから1カ月もたっていません。またも宣言を出す事態に至ったことは、菅政権の感染対策が完全に失敗だったことに他なりません。

 ワクチン接種では政府の供給不足と見通しのなさで大混乱を招き、PCR検査は政府の掲げた目標も実施できていません。自粛・休業した事業者への補償も極めて不十分です。東京で感染が収まりきれていなかった6月段階で、急いで宣言解除に踏み切った判断の誤りも厳しく問われます。4度目の宣言を招いた要因について首相からまともな説明はありません。

 最大の問題は、菅政権が五輪開催に固執し続けていることです。五輪は多くの国・地域から選手や関係者が結集し17日間にわたって行われる世界的なスポーツの祭典です。緊急事態宣言を出しても、巨大イベントはあくまで開催するという姿勢では、国民には矛盾したメッセージにしかなりません。

 日本ではコロナをめぐって国民は我慢に我慢を続け、外出自粛や休業・時短要請に協力し感染を広げないために努力を重ね対策を支えてきました。しかし、人類最大の祭りをやる一方、その期間中は外出しないよう求めたり、催しを控えるよう要請したりすることに到底納得は得られません。繰り返される緊急事態宣言で死活的状態にある飲食店からは怒りが上がっています。五輪強行は実効性ある感染対策への逆行そのものです。

 観客を入れた開催は論外です。無観客でもリスクはゼロにできないことは感染症の専門家が繰り返し強調しています。

 政府は、入国する選手を泡で包むように周辺と隔離する「バブル」方式をとるといいますが、陽性となった選手が日本国内を長距離移動したケースがあったように、抜け穴はふさぎきれません。

 世界的にデルタ株が猛威をふるっている時に五輪を開催すれば、東京を起点の感染爆発を引き起こす危険があります。いま政治に求められているのは、一刻も早く五輪中止を決断し、感染の封じ込めにあらゆる力を注ぐことです。

国民世論を無視するな

 小中学生を五輪観戦に動員することをやめる自治体は、都内の区市町村の過半数に達しました。五輪への強い不安の表れです。

 先の東京都議選では、五輪中止を求めた日本共産党と、中止・延期を掲げた立憲民主党が議席を伸ばし、自民党は事実上敗北しました。開催地・東京の有権者が明確に示した審判を、菅政権は受け止めなければなりません。五輪強行に道理はありません。


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