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2021年6月24日(木)

夫婦同姓強制 再び合憲

最高裁「判断、国会で」

4人「違憲」

 夫婦別姓の婚姻届が受理されない民法や戸籍法の規定は「婚姻の自由」などを定めた憲法に違反すると、東京都内に住む事実婚カップル3組が争っている家事審判の特別抗告審で、最高裁判所大法廷(裁判長・大谷直人長官)は23日、民法も戸籍法も「憲法に違反しない」とする決定を出しました。裁判官15人中11人の多数意見です。4人が違憲とする意見や反対意見を出しました。2015年12月の大法廷判決に続く2度目の合憲判断です。事実婚カップルの弁護団は、「選択的夫婦別姓に賛成する世論が高まる中で残念な判断です。しかし違憲の判断をした裁判官は熱意が伝わって中身のある決定です」と話しました。(党ジェンダー平等委員会・倉林明子責任者の談話)

 大法廷は合憲と判断した理由について、「社会や国民意識の変化を踏まえても、15年判決の判断を変更すべきとは認められない」としました。そして、夫婦の姓の制度の在り方は、15年判決の指摘通り「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」と述べています。

 事実婚カップルは、▽現行規定が法の下の平等を定めた14条に違反する▽結婚の自由などを定めた24条に違反する▽国際人権条約に違反する―とする3点を主張しました。しかし、合憲とした多数意見は憲法24条に触れただけで、「その余の論旨は特別抗告の事由に該当しない」と切り捨てています。

 50ページに及ぶ決定文のうち、多数意見を記述しているのは、わずか2ページ足らずです。

 残る大部分を4人の違憲意見や3人の補足意見で占めています。

 三浦守裁判官は、「法が夫婦別氏の選択肢を設けていないことは、憲法24条に違反する」と述べています。

 宮崎裕子裁判官、宇賀克也裁判官、草野耕一裁判官は、現行規定が憲法24条に違反するとし、「事実婚カップルの婚姻の届け出を受理するよう命じるべき」だと判断しています。うち、宮崎、宇賀の両氏は「夫婦同氏を婚姻届の受理要件とすることは、婚姻をするについての直接の制約となる」と述べ、15年判決が「夫婦同氏は婚姻の効力の一つであって、婚姻をするについての直接の制約に当たらない」としていたことの誤りを指摘しました。


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