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2021年6月13日(日)

主張

改定国民投票法

「安倍・菅改憲」の加速許されぬ

 自民、公明両党、日本維新の会が推し進めてきた改憲手続きのための改定国民投票法が参院本会議で賛成多数で可決、成立しました。日本共産党は、菅義偉首相が同法改定は改憲議論促進の「最初の一歩」(5月3日)と公言したように改憲に拍車をかける“呼び水”だと批判し、改定に一貫して反対してきました。採決・成立に強く抗議します。国民投票法の改定を受け、政府・自民党幹部から改憲議論の加速を求める声が相次いでいることは重大です。「安倍・菅改憲」を阻止する世論と運動をさらに広げることが重要になっています。

採決に対して強く抗議

 国民投票法の改定の動きは、安倍晋三前首相が固執する9条改憲の企てと一体で進められました。

 安倍氏は2017年5月、9条に自衛隊を明記するなどの改憲を20年に行うことを表明しました。しかし、「戦争する国」づくりに反対する世論と運動によって思惑通りに進みません。そのような中で18年6月、自民、公明、維新などが国民投票法の改定案を衆院に提出しました。なにがなんでも国会の憲法審査会を動かし、改憲議論を進めようという狙いでした。

 それでも改憲を優先課題にという国民の声は広がりません。20年に退陣した安倍前首相も国民世論が「十分に盛り上がらなかった」と認めました。過去の戦争への反省の上にたった憲法を国民が大切にし、受け入れていることは明らかです。提出されてから3年も国民投票法の改定案が採決できなかったのも、「安倍9条改憲」への不安と批判が根強く存在していたためです。

 改定では、「共通投票所」設置などを盛り込みました。しかし改憲しようとしなければ、改憲のための投票法改定は必要ありません。国民投票法には最低投票率の規定がないなど根本的な欠陥がいくつもありましたが、改定でもそれらは置き去りにされたままです。

 菅首相は改定国民投票法が成立する前日の10日、改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで「憲法改正の機運が確実に高まっている」とのべ、投票法改定を契機に改憲議論を推進することへの意欲を示しました。首相はメッセージの中で、自衛隊の明記とともに新型コロナへの対応とからめて、緊急事態条項を憲法にどう位置づけるかは「きわめて大切な課題だ」と主張しました。

 加藤勝信官房長官は11日の記者会見で、改定国民投票法成立とコロナの感染拡大と関連させて「緊急事態の備えに関心が高まっている。議論を提起し、進めるには絶好の契機だ」と発言しました。国民を苦しめているコロナ禍を「好機」といって改憲の口実に持ち出すのは許しがたい暴言です。

コロナに便乗は言語道断

 コロナと緊急事態条項をめぐる改憲促進発言では、自民党の下村博文政調会長が「いま国難だが、ピンチをチャンスに変えるように政治が動かねばならない」(5月3日の改憲派の集会)と述べたことなどが批判を浴びました。コロナ禍で国民が苦難に直面しているのは、菅政権の無為無策によるものです。憲法のせいにすることに道理はありません。コロナ禍に便乗し、改憲を推し進めるなど言語道断です。「安倍・菅改憲」を許さないため、市民と野党による共同を進めることが不可欠です。


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