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2021年5月16日(日)

市民と野党の共闘と革新懇運動の40年

志位委員長の記念講演

市民と野党の共闘の到達点と展望――政権協力で合意すれば新局面が開かれる

 志位氏は「この間、共闘を前に進める力強い動きが起こっています」と切り出し、(1)三つの国政選挙(4月25日投開票)での野党統一候補の勝利(2)4月27日に行われた志位氏と立憲民主党の枝野幸男代表との党首会談―の2点を紹介。党首会談での確認は「総選挙での共闘に向けたレールを敷いたものとして、大変に重要な一歩です」と強調しました。

 党首会談では「三つの国政選挙では野党の一本化が大きな成果をあげたことで互いの認識が一致した」と述べるとともに、「今後、どんな問題に対しても、『対等平等』『相互尊重』を互いに基本姿勢として貫くならば、必ず前向きの打開の道は見つかり、成功への道が開かれると確信しています」と力を込めました。

 また、「両党間で共通政策について協議していくことが確認されたことは重要です」と強調。「これまで政党間での直接の政策協議は本格的には行うにはいたっていません。直接に政策協議が行われるなら、共通政策をより豊かに発展させる道が開かれます。国民から見て、魅力もあれば現実性もある政策を、共同で知恵を絞って練り上げていきたい」と語りました。

 志位氏は、今後の協議では「共通政策」「政権のあり方」「選挙協力」の三つの分野で協議を行っていきたいと表明。「とくに『政権のあり方』で、菅自公政権に代わる新しい政権についての前向きの合意がつくれるかどうかは、本気の『選挙協力』を進めていくうえでも不可欠となります」と強調しました。

 メディアから繰り返し出される「新しい政権をつくるさいに、共産党は閣内協力か、閣外協力か」という質問に対する日本共産党の見解を述べた志位氏。「2015年9月19日に『安保法制廃止の国民連合政府』を提唱した時以来、閣内協力か閣外協力かはどちらもありうる、パートナーとなる政党や市民団体のみなさんと相談して決めていけばよいと一貫して表明してきました。一致点を大切にして対応すればよいというのがわが党の立場です」と語りました。

 その上で、「閣内であれ閣外であれ、安保法制廃止・立憲主義回復という大義を土台にして、日本共産党も含めた政権協力の合意がつくられるならば、市民と野党の共闘にとって画期的な新局面が開かれるでしょう」と強調。「前向きの一致を確認することができるよう全力をつくします。共闘の成功のためにとことん頑張り抜きます」と力を込めました。

 総選挙に向けた共闘をどう発展させるか。志位氏は、17年の総選挙を振り返り、「この時の共闘破壊の逆流の背景には、支配勢力の動きがあったと考えています」と述懐。「支配勢力は日本共産党が一翼を担う共闘体制がつくられ、本格的に共闘が前進することを何よりも恐れています。だからこそ熾烈(しれつ)な共闘破壊の攻撃をかけてきた」と指摘し、「総選挙で共闘を成功させるためには、参院選以上の力が必要だということを痛感しています」と力説しました。

 「来たるべき総選挙でも、市民と野党の共闘を成功させるためには、さまざまな困難を乗り越えていくことが必要とされるでしょう」と問いかけた志位氏。困難を乗り越えるために二つの力が重要だとして、(1)国民的、市民的な世論と運動の力(2)日本共産党が実力をつけ政治的にも組織的にも躍進の勢いをつくりだすこと―の2点をあげ、「来たるべき総選挙を、政権交代、新しい政権―野党連合政権を実現する歴史的選挙とするために力をあわせて頑張り抜くことを、お互いに誓い合おうではありませんか」と呼びかけました。

40年を迎える革新懇運動――いまこそその値打ちが輝く時代

 続けて志位氏は、市民と野党の共闘と革新懇運動のかかわりについて話を進めました。

 志位氏は、革新懇運動の40年を振り返り、「まず何よりも強調したいのは、革新懇運動の40年にわたる奮闘は、今日の市民と野党の共闘をつくるうえでの、大きな貢献になっているということです」と述べました。

 全国革新懇が1981年に誕生した大きな契機となったのは、80年に社会党と公明党が結んだ政権合意―「社公合意」が日本共産党排除、日米安保条約肯定の路線を打ち出したことにありました。

 志位氏は「『共産党排除』・安保肯定という時流に屈せず、政治革新の要求にもとづいて、共同の意思のある団体・個人がすべて大同団結しようと結成されたのが全国革新懇でした。これは本当に理にかない、先を見た、勇気ある政治的決断でした」と語りました。

 その上で、「九条の会」の結成や運動の発展などにふれ、「革新懇運動は、あらゆる『一点共闘』に積極的に参加し、さまざまな『一点共闘』が相互に連帯する『要』として大きな役割を果たしてきました」と指摘。「15年に開始された市民と野党の共闘は、こうした流れの中で生まれたものでした。共闘の成立は、『共産党排除』の壁が崩壊したことを意味するものでした」と強調しました。

 「今は激動の時代ではなく、激突の時代だ。革新懇は出番どころではなく、運動の表舞台に立たざるを得ない」。志位氏は、万感の思いを込めて故品川正治氏の言葉を紹介。「その後の情勢は、まさに品川さんの言葉通りの展開となっています。品川さんが『進歩と逆流が激突する時代に、革新懇という組織があって本当によかった』としみじみ言っていたことを思い出します」と語り、革新懇運動の果たした役割は極めて大きいと、この運動に携わった人々への敬意を込めて強調しました。

 革新懇運動のかけがえのない値打ちと魅力はどこにあるか。志位氏は、(1)草の根から国民のあらゆる要求をかかげ、実現をめざして共同を広げる仕事(2)そういう運動と結び付けて国政を変える「三つの共同目標」(平和、民主主義、生活向上の三つの分野)で自民党政治を大もとから変える革新の目標を掲げ、国民多数の合意を勝ち取っていくための仕事―の二つの仕事を統一的に追求してきたところに、この運動ならではの値打ちもあれば、魅力もあると強調しました。その上で、「革新懇運動の役割は、『共闘の時代』をさらに前に進めるうえで、いよいよ大きなものがある」と訴えました。

 この中で、安保法制廃止や辺野古新基地建設反対のたたかいなどにふれ、「こうした緊急の諸課題のどれ一つとっても、それを実行しようとすれば、日米安保体制の現状を絶対とする勢力の激しい抵抗にぶつかるでしょう」と指摘。「その時に、『三つの共同目標』の一つとして『日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざします』を掲げる革新懇運動の役割は、大変大きなものとなります」と力を込めました。

 志位氏は「『共闘の時代』にあって、革新懇運動が市民と野党の共闘の前進とともに、『三つの共同目標』を国民多数の合意にしていくという、二つの仕事を担うかけがえのない役割を果たしていきたい」と強調しました。

 志位氏が「革新懇運動の値打ちが輝く時代に私たちは活動しています」と語り、共闘の成功への強い決意を表明すると、参加者は大きな拍手でこたえました。


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