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2021年4月26日(月)

主張

学術会議人事

政治介入を撤回し任命直ちに

 日本学術会議の会員候補6人を菅義偉首相が任命拒否してから半年以上たつ中で、同会議は総会(21~23日)で「即時任命」を政府に求める声明を決定しました。

 学術会議は、昨年10月の総会で、任命しない理由の説明と速やかな任命を求める要望書を採択し、梶田隆章会長が政府に対して8度にわたって要請してきました。菅首相はこれに正式の回答や説明を一切行っていません。声明に込められた同会議の総意を真摯(しんし)に受け止め、直ちに任命すべきです。

違法な状態の解決は当然

 声明は、日本学術会議法が210人の会員を同会議の推薦に基づき任命することを首相に義務づけていると指摘し、任命拒否は「本会議の独立性を侵す可能性がある」「任命行為は法的には終了したとは言えません」と断じています。違法な状態を解決するために、首相に責務を果たすよう強く求めたのは当然です。

 昨年来、1000を超える学会をはじめ多くの分野の団体から任命拒否の撤回を求める声が空前の規模で広がり、マスメディアも「学問の自由脅かす暴挙」(「朝日」社説)と批判するなど撤回を求めました。

 菅首相は、こうした国民の世論に真っ向から逆らい、NHKの番組で「説明できることとできないことがある」と開き直りました。「説明できない」のは自ら違法行為を犯しているからです。

 菅首相は理由を説明しないまま任命拒否を続ける一方で、「学術会議を行革の対象にし、そのあり方を見直す」と述べ、論点をすり替えました。自民党のプロジェクトチームは、同会議を独立行政法人など国から「独立した組織」に改編して政府の「シンクタンク」に変質させる「提言」を発表し、井上信治科学技術相が梶田会長に対して「設置形態の改変を含む改革」を繰り返し要請しました。

 前代未聞の暴挙に乗じて同会議を政府に従順な機関に変質させ、学術総動員体制をつくろうとする権力的な介入にほかなりません。

 学術会議は、政府の要請に対して自主的な検討を重ねたうえで、先の総会で報告書を決定し、現在の「国の機関」としての形態を「変更する積極的理由を見出(みいだ)すことは困難」と結論付けました。政府はこの決定を尊重すべきです。

 日本と世界の人びとが直面する感染症や気候変動、格差と貧困の拡大など、科学的知見によって俯瞰(ふかん)的な究明が求められる課題は山積しています。

 学術会議が、独立して審議を行い、政府や社会に発信することがますます期待されます。そうした時に、任命拒否や組織改革要請によって独立性を脅かし、活動を制約してはなりません。

幅広い批判を受け止めよ

 政府の暴挙に対して、批判の声が広がり続けています。幅広い学者、文化人、ジャーナリスト、法律家など125人が20日、「6名の速やかな任命と政府の権力介入の撤回」を求める声明を発表しました。任命拒否された6人は、個人情報保護法にもとづいて、自らを任命拒否した理由の情報開示請求を行うほか、法律家有志が行政文書開示を請求する準備をすすめています。

 菅首相がこうした批判にこたえ、任命拒否を直ちに撤回するよう強く求めます。


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