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2021年4月21日(水)

主張

日米声明と沖縄

新基地固執の思考停止許すな

 菅義偉首相とバイデン米大統領は先週末の首脳会談(16日)で、沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる同県名護市辺野古での新基地建設を進めていくことを改めて確認しました。沖縄では、辺野古新基地に反対する県民多数の意思を切り捨てたことに対し、「日米が共通の価値観とする『民主主義』を沖縄にも適用してもらいたい」(琉球新報19日付)など厳しい批判が上がっています。

辺野古基地そもそも困難

 日米首脳が会談後に発表した共同声明は、辺野古新基地について「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」だと強調しました。しかし、その直前には、米国の政府調査機関やシンクタンクからその完成を困難視する指摘が相次いでいました。

 米議会調査局(CRS)の日米関係についての報告書(6日付最新版)は、2019年の県民投票や14年と18年の県知事選の結果などに触れ、「大部分の沖縄県民は政治や環境、生活の質の面といったさまざまな理由から新たな米軍基地の建設に反対し、普天間代替施設の県外移転を求めている」と述べています。同時に、普天間基地の移設は「工期の遅れに悩まされている」とし、「沖合に滑走路を建設するという物理的な困難」にも直面していると指摘しています。

 米政府監査院(GAO)は、在日米軍などの駐留経費に関する報告書(3月17日)の中で、辺野古新基地について当初は14年までに完成することになっていたが、地元の反対や環境面の問題で「著しく遅れ」が生じているとの米国防総省と日本政府当局者の証言や、「沖縄のような地元の反対が強い場所での米軍駐留は政治的に持続可能ではない」とする専門家の分析を紹介しています。

 米保守系シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)も、米国の軍事力についての報告書(3月18日)の中で、辺野古新基地は「完成時期が30年までずれ込み、費用も跳ね上がって困難に直面している」とし、「そもそも完成しないと思われる」と断じています。

 米国内でもこうした見方が広がっているのに辺野古新基地に固執する日米両政府の姿勢に対し、「同盟強化の名の下に思考停止に陥っているとしか思えない」(沖縄タイムス18日付)と怒りの声が上がっているのは当然です。

 日米両政府が普天間基地の「全面返還」で合意してから今月12日で25年が経過しました。しかも、普天間基地返還の条件となっている辺野古新基地は、埋め立て海域に広がる軟弱地盤の改良工事のため、防衛省の試算でも、米軍への提供までに少なくともさらに12年、経費は9300億円に拡大するとしています。

“普天間居座り”の口実

 在沖縄米軍トップの4軍調整官だったグレグソン元国防次官補は辺野古新基地建設の遅れについて「現(普天間)飛行場で任務遂行できており、米国が日本をせかす理由はない」と述べています(琉球新報11日付)。辺野古新基地は「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」どころか、米軍の“普天間居座り”を許す口実になっています。

 辺野古新基地建設の中止、普天間基地の即時閉鎖・撤去が、その危険性を除去するための「唯一の解決策」であることは明白です。


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