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2021年4月10日(土)

主張

女性参政権75年

平等な未来を切り開く転機に

 「新しい日本の建設はわれらの一票で」。1946年4月10日、日本の女性は、初めて手にした投票用紙に熱い思いを込めて参政権を行使しました。戦後初の衆院選の投票日です。女性候補者は全候補者の2・9%、誕生した女性議員は全当選者の8・4%(39人)でした。歴史的な選挙から75年たちましたが、日本の女性議員の比率は、いまだ衆参合わせて1割台にとどまります。長年の立ち遅れを克服することが問われます。

世界水準から著しい遅れ

 戦前日本は、明治期に「富国強兵」と一体で家父長制の構造がつくられ、侵略戦争へ突き進みました。女性は参政権など諸権利がなかっただけでなく、個人の人格も否定され、国民は男尊女卑の価値観も徹底して刷り込まれました。

 敗戦後、日本の女性は政治的権利をはじめ多くの権利をかちとりました。しかし、戦前の流れをくむ勢力が政治の中枢を占めるとともに、大企業中心の「経済大国」路線で、女性労働者は仕事の内容や賃金・昇進で差別を受け、女性が主に担う有償無償のケア労働は軽視されました。一方で男性は「企業戦士」として異常な働き方を強いられました。

 世界経済フォーラムが発表した今年の「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」で、日本の順位は156カ国中120位でした。男女間格差を測る同指数は、政治参加、経済、教育、健康の4分野の指標を評価して順位を決めます。日本はとくに政治参加で147位、経済で117位と最低クラスです。

 森喜朗・東京五輪組織委員会会長の女性差別発言、選択的夫婦別姓への自民党内での執拗(しつよう)な抵抗など、菅義偉政権の与党を中心に、女性をおとしめ、権利を否定する言動が後を絶ちません。

 コロナ禍は、女性の困窮を一層深刻化させています。女性の「実質的失業者」が男性の2倍以上の103万人(野村総研)という事態は放置できません。DVや虐待も増加しています。コロナを乗り越え新しい社会をめざす時、これまでの女性を差別・排除する流れを断ち切ることが不可欠です。

 世界には、ジェンダー平等へ向かう力強い潮流があります。国連は、社会に深く根を張った構造やモデルを変えるために、女性の平等なリーダーシップが必要であることを繰り返し発信しています。#MeToo運動以来、爆発的に広がっている女性たちの多様な行動と、それがもたらした変化は、女性の声が社会を変える力を持つことを証明し始めています。

 日本でも、森氏を会長辞任に追い込んだように逆流に正面から対峙(たいじ)する女性や当事者の行動が大きく広がっています。森発言に抗議して開かれたオンライン企画のひとつでは、参加者が「私にも“わきまえ癖”がある。自分の中にもある“森さん的なもの”から卒業しなければいけないと思う」と発言しました。新たな息吹です。

権利の行使を今こそ

 参政権は、全ての市民に等しく保障された権利であり、行使することは政治を動かす力です。

 今年は総選挙の年です。ジェンダー平等後進国の汚名を返上し、個人の尊厳が守られる政治を実現させるためにも、一人一人が力を発揮するときです。女性参政権実施75年の節目、平等な未来をひらく転機にしていきましょう。


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