しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年4月6日(火)

きょうの潮流

 しばらく、プールから上がれませんでした。ここまで戻ってこられたうれしさ、いままでのつらさ…。いろいろな感情が一気にこみあげてきました。こぼれ落ちる涙とともに▼突然の病からの復活でした。白血病の判明から、2年2カ月。池江璃花子(いけえ・りかこ)選手が競泳日本選手権の100メートルバタフライで優勝しました。選考基準の記録も破り、五輪代表の座をつかみとったことで、「奇跡を起こした」と周りを驚かせました▼2年前のいまごろは病室に。抗がん剤の治療で、はげしい吐き気や頭痛、高熱にみまわれ、「生きることさえしんどい」と落ち込む日々も。体力や筋力、これまでトップ選手として積み上げてきた多くのものを失いました▼退院してからも体調は一進一退。最初は懸垂や腕立て伏せも体が上がりませんでした。しかし、これまでなかった泳げる幸せや楽しさを感じながら、苦しいトレーニングに励んできました。一からつくり直し、成長していく喜びをかみしめて▼過去の自分と変わったことがもう一つ。彼女にとって泳ぐことはライバルや記録とのたたかいでした。いまは、だれかの励みになりたいという使命感のような気持ちが自分のなかに生まれている。ふたたびトップをめざす姿を通して何か伝えられることがあるのではないかと▼池江さんが口にする「がんばる」には、きっとたくさんの意味が込められているのでしょう。レース後のインタビューで万感の思いを。「すごくつらくて、しんどくても、努力は必ず報われる」


pageup