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2021年4月4日(日)

モニタリング検査 全国調査

検査数少なく連携も不十分

1日あたり748件 5県が独自の取り組み

 政府が感染再拡大の予兆をつかみ感染源を把握するために取り組むモニタリング検査が、現状では検査数が少なすぎて感染再拡大の探知等の対策となっていないことが本紙の調査で明らかになりました。さらに、国と自治体との協力・連携が十分にとれていない実態が浮き彫りになりました。一方、独自の方法でモニタリング検査に取り組む自治体が5県あることも分かりました。(政治部コロナ取材班)


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 調査は3月29日~4月1日にかけて47都道府県の担当者に聞き取りを行いました。モニタリング検査を開始しているのは緊急事態宣言が解除された11都府県と北海道。実施状況は、検査数が1日あたり748件(3月22日~28日)で政府目標の「1日1万件」から大きく遅れています。

 検査の方法は、繁華街などで検査キットを配布するスポット型と企業や学校の従業員・学生に配布する団体検査型があります。

 自治体への聞き取りでは、ほとんどの自治体が「国の事業」だとして、「依頼されたら協力するという立場」「検査結果などは直接把握していない」「陽性者の対応は国に任せている」と回答。一方、内閣府は「(陽性者情報を)希望がある場合は自治体に伝える」とする一方、自治体からは国が得た情報を共有するのに時間がかかり、「知らされるのが遅い」と指摘する声も挙がっています。

 他方、新潟、愛媛、滋賀、広島、熊本の5県は、内閣府とは異なる独自の方法で、無症状者を対象とした検査を実施。県内の感染状況を把握し、感染の制御につなげる取り組みを行っています。

 熊本県では県と熊本市が協力して、昨年9月から3月までに熊本市内の繁華街を中心に飲食店の従業員を対象として検査を実施。無症状者約2000件の検査で15人の陽性者を発見しました。県の担当者は、「一定の成果が出ている」と認識を示しており、今後もワクチンの効果が出てくる秋頃まで継続する考えです。

自治体 検査広げ感染制御も

 モニタリング検査の遅れは国会でも追及されています。

 1日の参院議院運営委員会で日本共産党の田村智子議員が西村康稔経済再生担当相に検査の具体的状況をただすと、大阪府では3月5日以降、大阪市内に検査スポットを3カ所設け、これまでに6587件キットを配布し、3328件を回収と回答。田村氏は、近畿圏より後に宣言が解除された東京都は、3月15日以降の配布件数が99にとどまることを指摘。内閣府の資料では検査(回収)数は非公表です。

 聞き取りの結果も含め、検査の規模とスピードが全く足りていません。モニタリング検査をどう効果的に進めるかについて国と自治体との十分な戦略的協議が行われておらず、これでは本格的拡大には進めません。

「教訓的な5県」

 一方、独自に検査を始めた5県の取り組みは教訓的です。

 愛媛県では新たに無症状者を対象とした大規模検査を独自に開始。臨時のPCR検査センターを松山市に設置しました。3月30日から4月5日まで、第1弾として接待を伴う飲食店などを対象に検査を実施します。6日から9日は第2弾として、営業時間短縮を要請する飲食店の従業員にも対象を広げ実施します。

 広島県では2月に行った広島市内での大規模検査の成果を踏まえ、4月1日から薬局でPCR検査キットを無症状の希望者に配布。県内5カ所のPCR検査センターで全県民を対象に無料の検査を行います。

幅広く検査実施

 モニタリング検査は実施しないものの、陽性者を発見した際に、濃厚接触者に限らず検査を幅広く行うことで、感染制御している自治体もありました。

 和歌山、島根、鳥取の各県などは、陽性者の濃厚接触者に限らず少しでも接触の可能性がある人にも検査を実施し、再拡大を防いでいます。感染者数が少ないレベルで推移し、大規模なモニタリングの差し迫った必要は少ないが、陽性者が発見された場合に、その周辺に徹底した検査をかけて抑止する取り組みです。


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