しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年3月20日(土)

論戦ハイライト

シフト労働者守るルールを

山下氏「休業支援金改善せよ」

図

 日本共産党の山下芳生副委員長は19日の参院予算委員会で、新型コロナウイルスで苦しむシフト制労働者への支援の拡充を求めるとともに、シフト制の働き方そのものの理不尽を正す「新しいルールをつくろう」と迫りました。

10割補償が56%

 山下氏は、シフト制の非正規労働者への休業支援金について、中小企業では昨年4月以降、休業前賃金の8割を支給する一方、大企業では昨年4~6月で、賃金の6割しか支給されないと指摘。「なぜこんな差別をするのか」と追及。厚労省調査では大企業が支払った休業手当のうち10割補償は56%、6~7割補償は22%だと示し、「10割補償が半分以上だ」と指摘しました。

 山下 6割補償に合理的理由はない。

 田村憲久厚生労働相 8割に満たないところとの公平性を考えた場合に理解が得られない。

 山下 シフト制労働者に休業手当を支払う大企業がどれだけあるのか。「公平性」は何の根拠にもならない。

 山下氏は「出し惜しみせずに平等に休業支援金を給付すべきだ」と主張しました。

 山下氏は、シフト制労働者は職場で正社員と同等の重要な役割を果たす一方、「その働き方には数々の理不尽がまかり通っている」と強調。当事者への聞き取りをもとに、▽シフト減で休んだのに休業手当が出ない▽直前までシフトが確定しない▽急なシフト取り消しへの補償がない▽シフト減で生活が苦しくなり退職しても「自己都合」になる―問題を挙げ、「労働者としての権利の侵害だ」と告発しました。

 厚労相 シフト制にもいろいろある。そういう働き方を望んでいる人もいる。

 山下 実例を示して聞いている。厚労相が「望んだ」などと言うのか。労働者が救われない。

 山下氏は、理不尽にさらされている当事者の声に背く答弁を厳しく批判しました。

 その上で、観光バス大手に勤める3人の労働者は、コロナ禍の影響が広がっていた昨年3月の雇用契約書で、「勤務日数・労働時間」が大きく切り下げられた(図)と指摘。「使用者が勤務日数や労働時間を都合よく決めることができ、『0』にもできる」と述べました。

シフト悪用拡大

 「『3~5日』を『0~5日』にすれば、労働基準法をかいくぐり、解雇時の事前通知や予告手当も不要になる。労働者保護のルールをことごとく突き崩す」と批判。「コロナ禍でシフト制の悪用が広がっている。乱用を防ぐ新しいルールが必要だ」と強調しました。

 山下氏は、欧州連合(EU)が2019年、賃金を保証する最低限の労働時間数・シフト決定の事前告知期間・取り消し期限の明示や、シフトに関する労働者の拒否権、補償を受ける権利などを定めた「指令」(加盟国に国内法の整備を求めるもの)を成立させたとして政府に迫りました。

 山下 日本でもこういう、理不尽を希望に変えるルールをつくろう。

 厚労相 各国の対応を注視・検討したい。

 山下氏は、シフト制労働の理不尽の根本には、自民党政治による労働法制の緩和があると批判。「働く貧困層が増えるほど、大企業の内部留保は増え潤っている。ゆがんだ社会を変えるため、人間らしい雇用のルールが必要だ」と強調しました。

「東電に疑念やむ得ず」

原発扱う資質問われ首相

 菅義偉首相は19日の参院予算委員会で、東京電力柏崎刈羽原発への不正侵入防止の機能喪失に代替措置を取っていなかった問題について、「東電の組織の体質や原発を扱う資格にまで疑念をもたれてもやむを得ない」と述べました。日本共産党の山下芳生議員への答弁。

 山下氏は東電の経営方針に「再稼働の実現」による「収益」増加とされていることに触れ、「収益力を上げるために再稼働を急ぐ姿勢が今回の重大事態を生んだのではないか」と指摘。「再稼働どころか原子力事業者としての資格が根本から問われる」と批判しました。

 菅首相は「組織的な管理機能については抜本的な対策を講じる必要がある」と述べました。


pageup