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2021年3月1日(月)

主張

駐留経費特別協定

米軍「思いやり」の延長許せぬ

 日米両政府は、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する現行の特別協定を来年3月末まで1年間延長する改正議定書に署名しました(24日)。来年度の予算案には、現行協定の1年延長を前提に2017億円もの「思いやり予算」が計上されています。これに、沖縄の辺野古新基地建設費など米軍再編関係経費とSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費を合わせた額は4205億円に上り、過去最大となっています。いずれも在日米軍の維持経費は米側負担とした日米地位協定の原則に反するもので、廃止に踏み出すことこそ必要です。

特例が既に34年も継続

 特別協定は、在日米軍の駐留経費について日米地位協定が定めている日米間の負担原則の特例を設けるもので、ほぼ5年おきに見直されてきました。現行協定は今年3月末が期限です。

 日米両政府は昨年11月、新たな特別協定を結ぶための交渉を正式に開始しました。しかし、米国の政権移行と重なったため、現行協定を暫定的に1年延長し、新協定については交渉を継続することで合意していました(2月17日)。

 昨年11月の交渉では、当時のトランプ米政権が大幅な増額を求めたとされます。ボルトン元大統領補佐官は回顧録で、在任中の19年に現行水準の4倍超になる年80億ドル(約8400億円)の負担を日本側に打診したことを明らかにしています。バイデン現政権でも、日本側に増額を求める流れは変わらないと報じられています。

 しかし、特別協定は、地位協定の負担原則に反することから、政府自身が「暫定的、限定的、特例的な措置」としてきたにもかかわらず、初めて締結された1987年から既に34年がたっています。

 地位協定24条は「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」は「施設及び区域並びに路線権」の提供を除き「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と明記しています。日本側負担は施設・区域(基地)や路線権(飛行場など)の提供に必要な借り上げ料と補償費だけです。

 ところが、政府は、米軍への「思いやり」(当時の金丸信防衛庁長官)が必要として、78年度から米軍基地で働く日本人従業員の労務費の一部、79年度からは基地内の新規の施設整備費の負担を開始します。さらに、政府の地位協定の拡大解釈によってもこれ以上は無理だとしてきた負担に踏み込むため、特別協定を結びました。

 現在、その負担範囲は、▽労務費の全額(来年度予算案1555億円)▽米軍基地の光熱水料等(同234億円)▽施設整備費(同218億円)▽米空母艦載機の硫黄島での着陸訓練費(同10億円)―にまで広がっています。

「日本防衛」とも無縁

 加えて、政府は、96年度から沖縄の米軍基地・訓練を移転・強化するためのSACO関係経費(同144億円)、2006年度からは米軍再編関係経費(同2044億円)の負担を始めています。

 政府が世界でも異常に突出した経費負担をする在日米軍は、「海兵遠征軍」や「空母打撃群」といった海外遠征部隊で、「日本防衛」を基本任務にはしていません。コロナ禍の今こそ、道理のない負担はやめ、国民の暮らしを守るための予算に振り向けるべきです。


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