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2021年2月26日(金)

きょうの潮流

 半世紀も前のこと。俳優による初めてのデモが東京で決行されました。主な要求は外国語映画の日本語吹き替えに携わる声優の待遇改善。当時、出演料が安いうえに再放送分は支払われないなど、ひどいものでした▼そのとき激しい怒りを買ったのが経営側の代表だった植村伴次郎氏の発言でした。「役者などは無能であり、次から次に生まれてくる使い捨ての商品みたいなもの」。彼は音声製作会社の最大手であった東北新社の社長でした(日本俳優連合30年史)▼いまや幅広い放送事業に影響力をもつ会社の創業者。伴次郎氏は菅首相と秋田の同郷で、親子にわたって献金を続けていた間柄です。菅首相自身「20年近いお付き合いがある」と国会で答えています▼そんな親密な関係にあった企業がくり返していた総務省幹部らへの過剰接待。政権は、関係者の減給などで早く幕を引こうとしていますが、肝心の点は何一つ明らかにされていません▼接待漬けの目的は。放送行政がゆがめられたのではないか。長男が東北新社に勤め、総務相時代から人事権をふるってきた菅首相への忖度(そんたく)は―。「家族の1カ月分の食費よりも高い」と庶民が憤る接待の意図も、菅首相の責任も、うやむやにしてはこうした悪習の根は断てないでしょう▼いま国民がコロナ禍にあえぎ助けを求めているとき、自分の所有物のように政治を扱う政権与党。それにつき従う官僚。モリカケ・桜とまったく同じ構図です。このまま背を向けるなら前政権のてつを踏むことに。


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