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2021年2月23日(火)

きょうの潮流

 労働者に選挙権を。19世紀前半のイギリスで起きたチャーティスト運動は最初の組織的な労働運動といわれます。選挙の民主化を要求した人民憲章(ピープルズ・チャーター)を掲げたことから、そう呼ばれました▼10時間労働制の実現にもつながった全国的な大運動。それを支えたのは数百万人の名が連なった請願書でした。今の署名運動のはしりです。日本では明治期の国会開設運動がその始まりといいます▼戦後の原水爆禁止運動をはじめ、さまざまな問題に草の根の意見を反映させるために集めてきた署名。たゆまぬ地道な努力は、主権者である国民の意識とともに政治や社会に変化をもたらしてきました▼8割をこす署名が無効―。愛知県知事のリコール運動で大量の不正署名が見つかりました。大村知事は「民主主義の根幹を揺るがす由々しき事態だ」として、関係者に説明責任を果たすよう求めています▼遠く佐賀で雇った100人近いアルバイトがひたすら赤の他人の名前や住所を書き写す。関係者の証言からは組織的な不正がうかがえます。もともとリコールは高須クリニック院長や河村たかし名古屋市長が扇動。芸術祭で自分たちの気にいらない展示を認めたから解職するという、本来の趣旨にも反したものです。ところが河村市長は謝るどころか「ぼくも被害者」と責任逃れ▼民意を捏造(ねつぞう)してまで我を押し通す。他人になりすまして投票するに等しい悪質さ。ひと筆にみずからの意思を込める署名運動さえおとしめた罪は深い。


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