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2021年2月20日(土)

主張

止まらぬ低空飛行

米軍の傍若無人をやめさせよ

 昨年末以降、沖縄県内各地で、米軍機が傍若無人な低空飛行を繰り返しています。県や県議会などが再三にわたり中止を求めているにもかかわらず、強行され続けています。菅義偉首相は「米軍の飛行訓練は日米安保条約の目的達成のために重要」(17日、衆院予算委員会)と正当化しています。米軍機の低空飛行は、地域住民に爆音被害や墜落事故の不安を与えています。毅然(きぜん)と中止を迫るのが主権国家の政府であれば当然です。

抗議を無視して強行

 沖縄県では、昨年12月28、29日と今年1月6日に、慶良間諸島の座喜味村や渡嘉敷村周辺で、米空軍嘉手納基地に配備されているMC130J特殊作戦機による低空飛行が相次いで目撃されました。海抜44メートルにある展望台のほぼ真横を飛行する様子も動画で撮影されています。

 これを受け、県議会の米軍基地関係特別委員会は1月14日、「これまで見たことがないくらいの超低空で何度も旋回するなど、地域住民に恐怖を与えており、万一墜落でもすれば大惨事につながりかねない」とする抗議声明を全会一致で可決しました。県も1月下旬に日米の政府、今月3日にはMC130J特殊作戦機が所属する第353特殊作戦群の司令官に対し、訓練区域外での低空飛行の中止などを要請しました。

 しかし、翌4日、沖縄本島北端の辺戸(へど)岬(国頭村)周辺でMC130Jの低空飛行が確認されます。5日にも本島北部の金武町沖、10日には再び辺戸岬でも目撃されるなどしています。

 これに対し、県議会は16日の本会議で「米軍機による低空飛行の即時中止」などを求める意見書・抗議決議を全会一致で可決しました。1月14日の抗議声明が「住宅地上空」での訓練をやめるよう求めていたのに比べ、地域を限定しないで中止を迫る表現に踏み込みました。米軍への強い怒りの表明です。県も17日、「訓練の常態化は断じて容認できない」と改めて日本政府に抗議しました。

 ところが、翌18日、MC130Jによるとみられる低空飛行が慶良間諸島や辺戸岬でまたも確認されました。高度30メートル以下の可能性も指摘されています。県や県議会の抗議、県民の不安を無視しているのは明白であり、言語道断です。

 日本政府の責任も重大です。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は17日の衆院予算委で、菅首相が日米安保をたてに米軍機の低空飛行訓練を当然視する答弁をしたことに対し「米軍の訓練場として日本列島を差し出すようなものだ」と厳しく批判しました。

米軍に航空法適用を

 岸信夫防衛相は、沖縄での低空飛行訓練は「日米間の合意に基づいて行っているという回答を米側から受けている」と言います。

 同合意は、米軍が日本の航空法が規定する「最低高度基準」(人口密集地で300メートル、非人口密集地で150メートル)を用いているとしていますが、実態とは明らかにかけ離れています。しかも、米軍はそもそも、日米地位協定に基づく特例法で航空法の規制対象外となっています。米側の説明をうのみにすることは許されません。

 政府は米軍機の低空飛行訓練の実態を明らかにするとともに、航空法適用の明記など日米地位協定の抜本改定を行うべきです。


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