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2021年2月17日(水)

主張

福島県沖地震

重なる苦難打開へ支援強めよ

 福島県沖で発生したマグニチュード(M)7・3の大きな地震は、東北を中心に被害を広げました。宮城、福島両県で最大震度6強を記録したのをはじめ、東北・関東の各地は強い揺れに見舞われました。10県で約160人が負傷し、家屋も数多く損壊しました。東日本大震災発生から10年を前に、被災地はコロナ禍と新たな地震被害という二重の苦難を強いられています。今回の地震で心に痛手を負った被災者も少なくありません。物心ともに被災者を支えるため、被害状況の丁寧な把握を急ぐとともに、暮らしと生業(なりわい)の支援強化に向け政府は役割を果たす時です。

コロナの苦境に追い打ち

 13日深夜の地震は、2011年3月11日に東日本大震災を起こした地震(M9・0)の余震とみられます。10年経過しても、地震への警戒が必要なことを改めて浮き彫りにしました。政府の地震調査研究推進本部は14日、「今後も長期間、余震域や内陸を含むその周辺で規模の大きな地震が発生し、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性がある」と指摘しています。気象庁も、揺れの強い地域では1週間ほど、震度6強程度の地震に対する注意を呼びかけました。被害を広げないための対策と備えが極めて重要になっています。

 宮城、福島では地震後に雨や風が強まりました。瓦が壊れた屋根を覆ったブルーシートが飛ばされ、雨漏りが激しい住宅もあります。室内の壁が落ちたり、家財道具が散乱したりしている家も多数です。外から見ただけでは被害が分からない家屋もあります。高齢者世帯では片づけもままなりません。一人ひとりの抱える困難を自治体が細かくつかみ、ニーズにこたえた公的支援ができるようにすべきです。家屋の応急修理の制度活用や、住宅再建のための被災者生活再建支援法の柔軟で弾力的な運用なども必要です。

 避難所のコロナ感染対策を講じて、被災者が安心して利用できるようにすることと合わせ、在宅被災者に情報や物資が届くような仕組みづくりも不可欠です。

 復興へ努力していた被災地は、昨年来のコロナ禍の売り上げ減少で、すでに営業や雇用などに打撃を受けています。今度の地震が追い打ちとなり、ますます先が見えなくなった被災者からは、支援強化を求める声が切実です。温泉地の宿泊施設からは、コロナで客の激減で苦しんでいたところに、地震で壊れた建物の修繕費がのしかかってくることに不安が出されています。政府の責任による十分な補償が急がれます。地域経済の主要な担い手を守ることなくして、被災地の復興はできません。

いまこそ教訓を生かして

 東北新幹線の電柱が折れ、不通になったことは鉄道耐震化の遅れを改めて示しました。地震発生の時間によっては大事故につながりかねません。対策が急務です。

 今回の地震で大きく揺れた地域には、10年前に未曽有の大事故を起こした東京電力福島第1原発、事故寸前の東北電力女川原発2号機、日本原電の東海第2原発などいくつもの原発があります。多くの人は事故を想起し、不安がよぎりました。大きな地震・津波の発生頻度が高い地域での原発はとりわけ危険です。女川原発と東海第2原発は再稼働をやめて、福島原発とともに廃炉にすべきです。


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