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2021年2月9日(火)

主張

休業支援金拡大

必要な人すべてに届く制度に

 厚生労働省がコロナ対応休業支援金を大企業の非正規雇用労働者にも支給する方針を決めました。労働者の運動と野党の国会論戦による成果です。発表では、2回目の緊急事態宣言に入った1月8日以降の休業に限られ、昨年4月に出された緊急事態宣言以降の休業は対象外です。これでは多くの労働者が救われません。休業支援金を必要とするすべての労働者が受け取れる制度に改善することは国民の命と暮らしを守る政府の責務です。

昨年4月にさかのぼれ

 雇い主は自己都合で労働者を休業させた場合、正規、非正規を問わず休業手当を支払う義務を負います。一部を国が助成する雇用調整助成金があり、コロナ特例で助成率が最大10割まで引き上げられています。

 休業支援金は、コロナ禍で休業した中小企業の労働者が休業手当を得られない場合、国が賃金の8割を労働者に直接支給する制度です。昨年7月に始まりました。

 ところが支払い能力のある大企業が休業手当を支払わず、社会問題になっています。雇調金の特例を使えば企業負担を大きく減らすことができます。

 にもかかわらず、シフト制(交代勤務)で働く大手チェーン店のパート、アルバイトに対して企業が「シフトを減らしたのであって休業は指示していない」などと言い張って休業手当を払わない事例が多発しています。大企業は休業支援金の対象外なので、休業手当も休業支援金も受け取れない事態になっています。シフト減を盾にして休業手当を支払わないのは脱法的な行為です。

 労働組合や日本共産党は企業責任をただす一方、休業支援金を大企業の非正規労働者に広げることをはじめ制度の拡充を要求してきました。1月29日にはシフト制の非正規労働者が菅義偉首相に面会して直接、窮状を訴え、ようやく大企業のシフト制非正規労働者に広げることになりました。日雇いを繰り返す「日々雇用」と登録型派遣も対象となります。しかし対象を1月8日以降に限定したのでは実態とかけ離れています。

 5日の衆院予算委員会で日本共産党の藤野保史議員は「多くのシフト制労働者は昨年4月の緊急事態宣言時の営業自粛要請から収入がほぼゼロになるような状況に追い込まれた」とし、昨年4月にさかのぼった適用を求めました。菅政権はこの要求に背を向けてはなりません。すでに10カ月以上にわたる非正規労働者の困窮に支援の手を差し伸べることは急務です。

 休業支援金の給付総額は施行後半年以上たっても予算額の12%程度にすぎません。大企業を対象から除いていたことに加え、制度が知られていないため申請が増えません。政府の責任で周知徹底し、取り残される労働者が一人もいないようにしなければなりません。

大企業の支給逃れ許すな

 大企業の責任は重大です。休業手当を支払う能力があるのに支給を逃れることは許されません。厚労省は昨年、非正規労働者に休業手当を支払うよう25社の大企業に要請しましたが、応じた企業はないとみられます。政府が厳しく指導する必要があります。コロナ禍のもとで非正規を切り捨てる大企業には断固とした態度を示すべきです。


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