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2021年1月29日(金)

歴史解釈の変更に警鐘

ホロコースト記念日 各地で追悼式典

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(写真)ベルリンの仏大使館に映し出されたホロコーストの犠牲者の名前を見る人たち=27日、ベルリン(桑野白馬撮影)

 【ベルリン=桑野白馬】ナチス・ドイツが第2次世界大戦で占領したポーランドに設置したアウシュビッツ強制収容所の解放から76年となる27日、ドイツ連邦議会や各地でホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)犠牲者を追悼する式典が行われました。生存者らは歴史解釈の変更や反ユダヤ主義を主張する勢力の台頭に警鐘を鳴らしました。

 連邦議会の式典では、ユダヤ人の国際組織「世界ユダヤ人会議」のシャルロッテ・クノーブロック副代表(88)が、子ども時代に受けた迫害や祖母が収容所に強制送還された体験を語りました。

 国内外で極右勢力が台頭していることを念頭に「反ユダヤの言論が再び学校や街頭で受け入れられ、選挙で票を集めている。ドイツの民主主義をもっと積極的に守られなければならない」と強調しました。

 ショイブレ連邦議会議長もナチスが行ったホロコーストなどの歴史の否定や再解釈を試みる勢力に言及。「わたしたちには将来世代も含め、集団責任が残っていることを誰もが認識すべきだ」と述べました。

 ポーランド南部オシフィエンチムにあるアウシュビッツ強制収容所跡地では、新型コロナウイルスの影響を受けオンラインで式典を開催。2人の生存者が証言しました。

 18歳の時に収容されたアニタ・ラスカーウォルフィッシュさんは「(ネオナチや極右による)無意味な殺人や外国人排斥」が行われたと批判。この事実を記憶にとどめることを「冒とくしようとする試みが見られる」と指摘。「わたしたちを無視しないで」と述べ、二度と同じことを繰り返さないよう訴えました。ポーランドのドゥダ大統領とイスラエル、ロシアの外交官も発言しました。

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は一般謁見(えっけん)で、ナチスが1930年代に極端なナショナリズムの波に乗って権力を獲得したことを念頭に「死、絶滅、残虐性の道がどのように始まったのか、注意してほしい」と警鐘を鳴らしました。

 アウシュビッツ強制収容所 1940年に建設されたアウシュビッツ強制収容所は、欧州のユダヤ人の最大の絶滅センターとなり、ガス室での大量虐殺と遺体の焼却が行われました。130万人以上が収容され、うち約110万人が死亡。45年1月27日、ソ連軍によって解放されました。国連は2005年、1月27日を国際ホロコースト記念日と定めました。


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