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2021年1月25日(月)

英シティー

奴隷制にかかわった政治家の像を撤去へ

 【ベルリン=桑野白馬】英ロンドンの金融街シティーは21日、市庁舎にある奴隷制にかかわった2人の政治家の像の撤去を決めました。シティーは昨年、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」運動で植民地支配や奴隷制の見直しの動きが拡大したことを受け、人種主義問題に取り組む特別チームを設立。同チームが撤去を勧告していました。

 撤去されるのは、18世紀後半に2度シティーの市長を務めたウィリアム・ベックフォードと、18世紀前半にトーリー党(保守党の前身)の国会議員を務めたジョン・キャスの像です。

 ベックフォードは、保有していたジャマイカのプランテーション(大規模農園)で奴隷を酷使し富を蓄積した人物です。キャスは、17~18世紀の商人で、王立アフリカ会社を通じた奴隷貿易で利益を上げました。

 英国では昨年6月、奴隷貿易の拠点だったブリストルにあった奴隷商人エドワード・コルストンの銅像が市民によって引き倒されました。これをきっかけに全国で奴隷制や植民地支配にかかわる人物をたたえる銅像の見直しが行われました。

 シティーは、奴隷貿易を金融面で支えた歴史を持ちます。特別チームは、奴隷制に関与した彫像や記念碑の扱いや多様性を推進する施策を検討してきました。像や記念碑の扱いをめぐっては、1500もの意見が寄せられており、市民の関心の高さが示されました。

 特別チームのキャロライン・アディー共同議長は、「奴隷貿易はわれわれの歴史の汚点であり、利益を得た人たちをたたええることは現代の多様性に富んだシティーでは許されない」と述べました。


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