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2021年1月23日(土)

主張

衆参代表質問

危機見ない政治の転換不可欠

 菅義偉首相の施政方針演説への代表質問が国会で行われ、日本共産党の志位和夫委員長(衆院)と小池晃書記局長(参院)が、政府の大失政で危機を拡大している新型コロナウイルス感染の抑止策を中心に首相をただしました。志位氏は、検査、医療、補償で三つの緊急提案を行い、実行を求めました。さらにコロナ収束に集中するため今夏の東京五輪の中止も提起しました。ところが、首相の答弁は棒読みばかりで、誠実さを欠いています。深刻な現実が見えていないのか。無為無策に反省がなく、感染抑止に逆行する政治をこれ以上許すわけにはいきません。

緊急提案の実行を求める

 菅政権のコロナ対策がなにより深刻なのは、緊急事態宣言で国民に多くの努力を求めながら、政府としてどのような積極的方策をとるかが、全く見えないことです。

 三つの緊急提案は、政府がすべきことを具体的に示しています。第一は、PCR等検査の抜本的拡充で無症状者を含めた感染者を把握・保護し、新規感染者を減らすことです。志位氏は▽感染者が集中する地域での大規模検査▽全額国費による医療機関と高齢者施設などの社会的検査▽陽性者保護のための宿泊療養施設の借り上げ、スタッフの確保・容体管理―の重要性を力説し実施を求めました。

 第二の提案は、医療機関と医療従事者、保健所への支援の抜本的拡充です。各地で医療体制が逼迫(ひっぱく)・崩壊し医療従事者の疲弊は極限に達しています。全ての医療機関に対し減収補填(ほてん)をはじめ十分な財政支援を直ちに行うことは切実な課題です。保健所がパンク状態になり濃厚接触者追跡などの機能を果たせていないことは深刻です。保健所の臨時的な人員強化に全力をあげつつ、抜本的な定員増に踏み切ることは待ったなしです。

 提案の三つ目は、営業時間の短縮要請と一体の十分な補償など、雇用と営業を守るための大規模な支援策の実行です。1日最大一律6万円の協力金では足りません。事業規模に応じた補償など事業継続を可能にする施策でなければ、実効ある感染抑止はできません。

 志位氏が今夏の東京五輪中止を提起したのは、いま日本と世界はコロナ対策に力を尽くすべきだと考えるからです。ワクチン接種の効果は五輪に間に合わないことは世界保健機関(WHO)も認めています。先進国と途上国とのワクチン格差、感染状況の国ごとの違いなどアスリートの置かれている状況からもフェアな大会として開催できる条件はありません。五輪開催期間中に多数の医療関係者を現場から引き離し、五輪に振り向けることは、非現実的です。いまこそ立ち止まり、ゼロベースから開催の是非を再検討すべきです。

大切なのは国民の信頼

 菅首相の答弁は、適切にやっていると繰り返すばかりで失政を認めません。やっていないことをやっていると事実と違うことも口にしました。無責任です。安倍晋三前首相の「桜を見る会」問題のウソ答弁や、吉川貴盛元農水相の汚職事件でも説明をしません。

 小池書記局長は、東日本大震災の被災地支援強化、沖縄米軍新基地建設中止などを迫りましたが、首相は住民の声にこたえません。危機時に重要な政治リーダーとしての信頼を首相は失っています。政権の交代はいよいよ急務です。


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