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2021年1月22日(金)

河井案里被告に有罪

東京地裁 「選挙の公正を害する」

執行猶予5年

 2019年7月投開票の参院選をめぐる大型買収事件で、公職選挙法違反(買収、事前運動)の罪に問われた参院議員の河井案里被告=自民離党=の判決公判が21日、東京地裁でありました。高橋康明裁判長は「民主主義の根幹である選挙の公正を害する犯行」だと指摘し、同被告に懲役1年4月、執行猶予5年を言い渡しました。

 案里被告の参院選立候補は、自民党広島県連の反対を押し切って党本部が主導しました。菅義偉首相自身が繰り返し案里被告の応援に入っており、首相と自民党の政治責任が改めて問われます。

「現金は選挙買収」認定

 案里被告は参院選公示前の19年3月~6月ごろ、夫で元法相の克行被告=自民離党、衆院議員=と共謀し、票の取りまとめのために県議ら5人に計170万円を配ったなどとして起訴されました。

 買収の争点は現金の趣旨。案里被告は公判で5人のうち3人について現金の授受を認めましたが、「(県議らの)陣中見舞いや当選祝いだった」と主張。参院選の投票依頼目的ではなかったとして無罪を主張していました。

 残る2人のうち1人については「記憶がないが、仮に現金を渡したとすれば陣中見舞いなど」だとし、最後の1人については関与を否定していました。

 判決は、最後の1人を除く4人への現金について▽案里被告の選挙情勢が、自民党広島県連による選挙支援を受けられなかったことから厳しかった▽現金を受け取った県議らには、河井夫妻の地盤の弱い地域での地方議員や有権者への影響力があり、案里被告が選挙支援を期待できる関係にあった▽実際に県議らが印刷物の配布などを行った▽現金が選挙運動の報酬として見合う額だった―などと認定しました。その上で、現金が案里被告への投票と、有権者の票の取りまとめの報酬と認められるとして「現金授受は選挙買収だった」と結論付けました。

 克行被告との共謀も認定しました。

 一方、残る1人への現金10万円については、克行被告が秘書を介して買収目的で交付したと認定。しかし「案里被告と克行被告との間に共謀が認められる立証はなされていない」として案里被告を無罪としました。

 情状については「供与額は計160万円と多額」「被告人が負うべき刑事責任は重い」と指摘しました。


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